私がクマにキレた理由(ワケ)

nanny公式サイト。原作はエマ・マクローリン、 ニコラ・クラウスの「ティファニーで子育てを」、原題:The Nanny Diaries。シャリ・スプリンガー・バーマン、ロバート・プルチーニ監督、スカーレット・ヨハンソンローラ・リニーアリシア・キーズクリス・エヴァンス、ドナ・マーフィ、ポール・ジアマッティ。ニューヨーク・マンハッタンのアッパーイーストサイドに住む投資銀行のセレブの子守(nanny)アニー(スカーレット・ヨハンソン)の“人類学的フィールドワーク”。
原作者は元ナニー。ある意味嫉妬の混じった、あまりに典型的というか、絵に描いたような反感誘導型セレブ夫婦。色々な実体験を総合的に混ぜ合わせた合成夫婦なのだろう。だからミスターXファミリーなのだ。
旦那さんはどんな迫力ある人間かと思わせるためになかなか表を上げてくれない。アニーが挨拶しようとしても無視される。で、出てきた途端、頼りなさげなハゲデブ君。M&Aで株価吊り上げが仕事らしく、シカゴで仕事兼野暮用に忙しい。
奥様は、イメルダ夫人をスマートにしたような女性で、そのココロは靴がいっぱい。衣装が人生の大問題で、その次にアフリカ支援と自然食品。にもかかわらずバラの花束は花粉が漂うから捨ててしまうとか。色々すぎる社会奉仕の会とか、とにもかくにも傍目にはどうでもよさげな大事なスケジュールでいっぱいの人。
ブコメディという触れ込みだが、これは申し訳程度。本題は、アッパーイーストサイド族の観察者としてナニーを手段に選んだはずのアニーが気が付けば人生の傍観者になっていく焦燥感。彼女は基本的に体張ってナニーをしているほかのナニーとは違うのだ。
ストックホルム症候群とか観察者効果とか、かなり学術的用語も散りばめられていて、偽物ナニーのアニーを逆に追い詰める。nannyとAnnieは単純なシャレじゃなく、non-nannyであるAnnieということだろうか。
タイトルの「クマ」も、これに関連していて、実は観察者もこのクマのぬいぐるみに観察されていて、その観察する側に観察される側がフィードバックされて、実験者と被験者がくるくる立場を変えて交錯する。セレブ夫婦だって当然能天気じゃないので、ナニーを観察しているわけだ。ある意味、ビデオフィードバック的シーンも利用されている。
ただし夫は株価ボードを観察しているだけで、それ以外は最後まで愚鈍。
結局、夫人とアニーはなんだかんだ言っても、夫に代表される投資銀行という共通の敵を持った同志だったわけだ。アニーは大学卒業当初、投資銀行の面接で既に敵意を持って退散している。公開に合わせたかのようにアメリカの投資銀行破綻のニュースが出てくるあたり、タイムリーだ。
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