ブーリン家の姉妹

boleyn1boleyn2公式サイト原題:The Other Boleyn Girl. フィリッパ・グレゴリー原作、ジャスティン・チャドウィック監督、ナタリー・ポートマンスカーレット・ヨハンソンエリック・バナクリスティン・スコット・トーマスアナ・トレントマーク・ライランス。原題の「別の娘」はどっちなのか、意外と迷ってしまう。映画の台詞ではアン(ナタリー・ポートマン=左)を別の娘と言っていたが、実際には歴史的に名を残していないメアリー(スカーレット・ヨハンソン=右)だ。
成り上がり貴族のブーリン家の、如才なく強かな美人の姉アンと、たおやかでおっとりした妹のメアリー(歴史的事実としては実はメアリーの方が姉だったらしく、しかもアンより美人だったらしい)。狩りでのひょんな事故で仲の良かった姉妹の間に亀裂が入る。気まぐれなヘンリー8世(エリック・バナ)に翻弄され、元々野心的だったアンに猜疑心が生まれてしまったのだ。それが高じてやがてロンドン塔で処刑される。エリザベス1世の母として歴史に名を残したけれど、その生涯は哀れでさえある。処刑間際のポートマンの紅潮した顔が凄い。
映画では、アンのために離婚したいヘンリーがローマ教皇と対立してイングランド国教会の原型を作ったことになっているが、ヘンリーは元々強欲で他人を顧みない無慈悲な人間として描かれており、アンとは無関係にそうなっていたろう。元々、どこかの国の妃じゃないが、男子が産まれなかったことが最大の問題だったのだから。国王至上法で政治と宗教の唯一最高の首長になり、カトリックの土地を没収して英国が発展したのも歴史的事実らしい。
アンを裁く裁判だって当時はいい加減なもので、都合の良い証言を採用して都合のよい判決をしてしまうところは同じナタリー・ポートマンが出ていた「宮廷画家ゴヤは見た」にも描かれていた。
結局、映画は最終的にメアリーの健気さに焦点を当てているようで、スカーレット・ヨハンソンが好演。メアリーは、調べてみたら遠い子孫に故ダイアナ妃がいるのにはびっくり。ダイアナもどちらかと言えばメアリータイプだったし。まさか現代での英王室のゴタゴタもこのことが尾を引いていたりして。英王室の奥の深さというか。原作は2001年なので、ダイアナの死後、メアリーを発掘する形である意味レクイエムとして書かれたのかもしれない。
歴史に名を残さなくても、優しさの中に凛とし生き方を貫き、生き残って子孫を残すことでメアリーは「勝利」したのかもしれない。
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