世界経済は赤色巨星化するのか

EUが25兆円の経済対策 英独仏、思惑すれ違い(日経) 「経済効果が不透明なポピュリスト(大衆迎合)政策」。シュタインブリュック独財務相は地元誌でこう酷評した。
ビッグ3救済、壁高く 4日から公聴会(同) 前回の公聴会で「政府支援を求めるのに社用機に乗ってくるとは」と批判されたことを受け、3社は議員らの心証を良くしようと懸命。GMやフォードの経営トップは今回、車でワシントンに向かう。「1ドル年俸」ものんだ。
一体、今後、世界はどうなるんだろう。
ウィキペディア・赤色巨星:誕生したばかりの恒星は中心部の水素の核融合反応で輝いているが、歳をとった恒星は中心部の水素を使い果たし、核融合でできたヘリウムからなる中心核と、それを取り巻く水素の外層という構造に変わる。これにより、ヘリウム中心核のすぐ外にある水素の層で核融合がはじまる。中心部はエネルギー源が無くなるため、自己の重力で収縮していく。この時に重力エネルギーの解放で熱が産生するため、核融合が起こっている外層部分は常に加熱される状態になる。これによって核融合反応が加速され、核融合で生じた熱によって外層は外へと膨張しようとし、重力による収縮を上回るようになる。そのために星の外層は大きく膨らみ、星の表面温度は相対的に低下するため色は赤く見える。
赤色巨星の断面図この膨張状態は中心部でヘリウムの核融合反応がはじまって収縮を支えられるようになると一旦解消されるが、中心部のヘリウムが使い果たされてより重い炭素や酸素の核ができ、ヘリウムの外層で核融合が起こるようになると再び膨張が起こる。
赤色巨星の外層は星の中心から離れているために重力による束縛が弱く、徐々にガスが星から流出していく。そのため恒星は外層を失い中心核が露出する。ここで核融合反応が終了したものが白色矮星となる。流出したガスは惑星状星雲として観測される。

これを強引にパラフレーズしてみる。
誕生したばかりのグローバル経済は中心部の欧米の産業革命で輝き始めたが、フロンティアを失いつつあるグローバル経済は中心部の製造セクターが空洞化し始め、自由貿易と国際金融でできた巨大資本からなる中心核と、それを取り巻く新興国の外層という構造に変わる。これにより、巨大資本の中心核のすぐ外にある新興国で製造セクターが輝き始める。先進国は通貨価値が高くなるため、巨大資本は通貨価値自身の重力で収縮していく。この時に金融収縮の反動で低金利によるマネーの解放でインフレが起きるため、製造セクターの新興国の外層部分は常に資本流入状態になる。これによって流動性が加速され、レバレッジで生じた過熱経済によって新興国の外層は外へと膨張しようとし、金利高による収縮を上回るようになる。そのためにグローバル経済の外層は大きく膨らみ、表面的には市場拡大で供給量は相対的に低下するため需給が逼迫するように見える。
このインフレ状態は中心部の先進国で付加価値の高いハイテク・IT産業がはじまって収縮を支えられるようになると一旦解消されるが、中心部の成長率が鈍り、より短期的な利益を求める金融資本の核ができ、先進国の外層で金融レバレッジが起こるようになると再び膨張が起こる。
グローバル経済の外層は金融の中心から離れているために金利による束縛が弱く、キャリートレードで徐々にマネーが実体経済から流出していく。そのため実体経済は外層を失い債務超過が露出する。ここでレバレッジが終了したものが巨大破綻企業として残骸を晒す。流出したマネーは証券化商品の星屑として観測される。

以上、あまりに大雑把でご都合主義的なのだけれど、プロセスが始まって数百年。今、どこのステージなのか。
世界同時低金利の中で待ち受けているのは、最終的なマネーの爆発的膨張、そして自爆による超新星の爆発後の白色矮星化かもしれない。
いまさら年俸1ドルだの、プライベートジェット機をやめてハイブリッドカーと電気自動車でワシントンに行っても、経済のプロセスは後戻りがきかない。マネーをじゃぶじゃぶにしても、火に油を注ぐだけだろう。その後には創造的破壊のような超新星の爆発が待ち受けているだけなのではないか。かといって、それが「創造的」かどうかなんて起きてみなければ分からない。
Clickで救えるblogがある⇒人気blogランキングにほんブログ村 経済ブログへ