ワンダーラスト

filth&wisdom1公式サイト。 マドンナ監督、ユージン・ハッツ、ホリー・ウェストン、ヴィッキー・マクルーア、リチャード・E・グラント。原題:Filth and Wisdom。映画の文脈で訳せば「淫らと真っ当」ぐらいだろうか。けれど、邦訳の元になったWonderlustの「たまらない渇望」ぐらいがむしろ適当な気がするような青春コメディ。「マドンナの堕落論」などと人生哲学を装っているけれど、基本的に考える映画ではなく見せるための映画。
filth&wisdom3初監督のマドンナの分身と思われる3人がロンドンでルームシェアするミュージシャン志望のSM調教師A.K.(ユージン・ハッツ)、バレリーナ志望のストリッパー、ホリー(ホリー・ウェストン)、アフリカ飢餓救済ボランティア志望の万引き薬局員ジュリエット(ヴィッキー・マクルーア)。
その中で、最もマドンナを体現していそうなのは、実名で演じるホリーだろう。目の輝き、セクシーなオーラをぷんぷん匂わす美しさは若きマドンナを彷彿させる。
filth&wisdom4狂言回し役を演じるA.K.役のユージン・ハッツはニューヨークのインディペント・ロックグループのボーカリストウクライナ出身のA.K.は惚れている金欠のホリーにストリッパーになることを勧めるが、そのポールダンサーになる訓練ぶりを見ていると、バレエとストリッパーを足して2で割ればマドンナになる。何か妙に納得してしまう。A.K.の言う闇があるから光がある、光があるから闇がある、コインの裏表の哲学に合っていることは合っている。
とは言っても、その哲学は、もったいぶっている割に青臭くて安っぽい。バレエが光、ストリッパーが闇、アフリカ救済が光でそのために万引きするのが闇、ミュージシャンが光でSM調教師が闇、て、そんな訳ないだろう。
という訳でマドンナ初監督作品の評判は最悪らしいのだけれど、そもそも、そんな賢しらぶって観る映画じゃないだろう。
filth&wisdom5むしろその青臭さ、安っぽさが青春コメディとして初々しく見えてしまうのは、マドンナの人徳というものだろうか。美は軽薄にあり。
というよりも、不思議なことにベースの哲学がステレオタイプで、登場人物がステレオタイプであればあるほど、評論家に馬鹿にされればされるほど、むしろ、登場人物の肉体の躍動が際立ってくる。
ホリー・ウェストンは実際にイギリスの名門ロイヤル・アカデミー・オブ・ダンスでバレエを専攻したプロダンサー。久々の新進気鋭の肉体派女優の発見だけでも大収穫。というか、この映画はマドンナがホリー・ウェストンのために作った映画とさえ思える。
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