感染列島

公式サイト瀬々敬久監督、妻夫木聡檀れい国仲涼子田中裕二(爆笑問題)、池脇千鶴カンニング竹山光石研佐藤浩市藤竜也嶋田久作。ついに評判の映画を見る。死者が増えるにつれ、医師たちは無力感に苛まれ、投槍になり、それに比例するように観客もついてけなさにどんどん投槍になる、そんな映画だ。
棚田の広がるフィリピンの村で発生した鳥インフルエンザ。感染爆発を封じ込めようと派遣されたWHOメディカルオフィサーの小林栄子(檀れい)。しかし、甲斐なく感染が拡大し、やがて東京都いずみ野市の養鶏場で鳥インフルエンザが発生、パニックが始まった・・・・いや関係なかったみたい。で、結局、フィリピンは全然関係ないことが分かる。と言っても、こっちが勝手に判断しただけなんだけど。けれど、ワケワカメなのでこっちで勝手に判断するしかないんだよう。小林がいずみ野市にやって来るのは養鶏場が汚染された後だから小林がキャリアなんてこと有り得ないもんね。理不尽な脚本に怒りを覚える。
もう一つの分からなさ。養鶏場の娘さんなんでいじめられるの? 数年前、鳥インフルエンザに罹っていると承知で鶏肉売っていた業者が世論から指弾されたけれど、いずみ野市の養鶏場はそんな悪いことしていなかったと思う。現実の事件でも身内で自殺者出しているけれど、だからと言ってなんで養鶏場のご主人自殺させるのか訳分からん。脚本家は現実の事件をモデルにするのはいいけれど、ちゃんと事実関係調べていたんだろうか。理不尽な脚本に殺される親子。実はここが一番泣けるシーン。
院内で新型インフルエンザに罹ったと思われる患者が死にそうなのに、すぐ横でこれまた入院している麻美(池脇千鶴)はマスクも掛けず無防備に放置されている。同じ感染かどうかすら分からない段階でこれは理不尽としか思えない。患者だけでなく医師までも、結構、無防備に院内を歩き回っている。厳戒態勢のはずなのにこのぬるさは何だ。
小林と松岡(妻夫木聡)の恋愛。パニック映画では必ず男女の恋愛を挿入して彩を添えるというステレオタイプなお約束事で無理矢理盛り込まれたらたまらない。しかも、恋愛感情の必然性というか連続性がなく、文字通り取ってつけた丸出し。
ここで泣け、と妻夫木をドアップで思い切り泣かせる鈍感さ。誰ももらい泣きせんよ。
その他、仁志教授(藤竜也)のいかにも安っぽい環境倫理。赤ひげ医師の麻美の父(嶋田久作)をキャリアにして間抜けにさせる理不尽。
例外的に良い演出だったのは女性医師・看護師が倒れるとき皆お尻こっちに突き出して倒れたことぐらいか。
肝心のパニックは結局、字幕の死者数でしか表現できなかった映画としての怠慢ぶり。早くも今年ワースト候補になる悪寒。
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