チェ 39歳 別れの手紙

cheguerrilla公式サイト。原題:Che Guerrilla。スティーヴン・ソダーバーグ監督、ベニチオ・デル・トロデミアン・ビチルフランカ・ポテンテカタリーナ・サンディノ・モレノジュリア・オーモンドロドリゴ・サントロ。「チェ 28歳の革命」の後編。ボリビアでのゲリラ活動を描いている。昨年観た「敵こそ、我が友〜戦犯クラウス・バルビーの3つの人生〜」では、銃殺後のチェの死体も描かれていたが、その意味で姉妹編とも見える。
チェはキューバだけでなく、妻、子供とも別れる。「革命か死か」と実質死を覚悟した実質自決のような行為。仮にボリビアで革命を成功さていても次の場所を求めて再び「革命か死か」を覚悟して旅立ったろう。
今回のベニチオは前回のメキシコに辿り着いた時と同じように身が引き締まり、前回になかった悲壮感が滲み出ている。前回はたとえ苦しくても追い風が味方していた。しかし、今回は最初から逆風だ。余裕がなくなり、必死なチェがそこにある。
部下のへまで「5年間の努力が水泡に帰した」というチェには恐らく信頼が裏目に出たという思いもあったのだろう。しかし、いったん裏目に出ると、更に裏目が出る。食糧が尽きかけて部下に動物狩りして来いと命令するも、脱走され、更に情報が漏れてますます追い込まれる。
自らも喘息の薬を置き忘れて、酷い発作に襲われるが、それでも仲間に「最悪の誤算は自分が薬を忘れたことだ」と言って、部下を非難しなかった。責任転嫁など全くしない純粋なまでの責任感が、却って少数の信頼できるコアな人間を除いて付いていけなくさせる遠因だったのかもしれない。
政府軍の人間が捕まえたチェに「農民はお前たちを通報した。なぜだと思う?」と問われて、チェは「嘘の情報を叩き込まれたから」と言っていたけれど、そのことは情報戦に勝てなかった、そこまでやれるだけの基礎さえ築けなかったチェの悔しさが滲み出ている。民衆は人望だけではなかなか付いて来てくれないのだろうけど、恐らくそんなこともチェには織り込み済みで弾丸を受けたに違いない。もう少し強かさがあれば成功していたかもしれないが、逆に何もせずに時代を超えたヒーローにもなれなかったかもしれない。人生は難しい
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