内需拡大というより内需回復

GDP年率換算マイナス12.7% 10〜12月期(朝日) GDPの5割超を占める個人消費は0・4%減と2期ぶりのマイナス。雇用情勢の悪化に伴って消費者心理が一段と冷え込み、自動車などの高額品を中心に買い控えの動きが広がった。
一段と冷え込んでいる割に意外と個人消費は減っていない。というか、もう減りようがないほど家計は緊縮財政済みなのか。
中川昭一財務相が朦朧となったG7でも、内需拡大が盛り込まれたが、そもそも、内需拡大というのは国内の家事労働を外部委託して産業化するのにほとんど等しかった。例外は無駄なハコモノとか、それに付随する無駄な組織。真性内需というのは、ほぼ家事労働、あるいは肉体労働の外部化だろう。
新幹線だって股旅徒歩旅行の延長線にある。「東海道新幹線の乗客数、3カ月連続減(同)」で、車どころか、鉄道も乗る余裕がなくなってきた。
思い起こせば、洗濯板を電気洗濯機に、ソーラー乾燥機(物干し竿)を電気乾燥機に、薪をガスに、蛍雪を電灯に、箒を電気掃除機に、自炊を外食や中食に代えてGDPを伸ばしてきた。
けれど、もうこれ以上、アウトソーシングするものはだんだんなくなってきている。残るのは精々老人介護を介護ヘルパーにアウトソーシングするくらいだろうか。
むしろ、この大不況でアウトソーシングの逆流が起きている。車でショッピングするのは控え、ママチャリ範囲内で買い物を済まし、家がないからネットカフェにして、とどんどん家事労働回帰が起きている。ということは景気対策内需拡大というのは根本的に無理がある。
では、どうするか。単純に賃金をとにかく上げることだろう。景気拡大期に賃金原資は実質減っていたのだから逆のことをやればいい。失業率が高くなるという説があるが、日本は元々失業率が低い。何よりも今、日本の通貨、円が最強に購買力がある。世界で一番使いでのあるお金を使える環境作りが結局、最強の景気対策となる。今更設備投資しても仕方ない。一見、大変なようだけれど、実効為替レートが上がり、日本は実は金持ちになっている。日本製紙がオーストラリアの製紙会社を買収したが、家計も右に倣えで使える環境を整えればいい。そうでもしないと、また変なことにカネが使われかねない。精々内需回復策だろう。「実感のない景気拡大」の次は「実感のない景気後退」策だろう。
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