エルサレム賞村上春樹氏の隠されたハードボイルドメッセージ?

村上春樹さん、エルサレム賞記念講演でガザ攻撃を批判(朝日) 村上さんは、授賞式への出席について迷ったと述べ、エルサレムに来たのは「メッセージを伝えるためだ」と説明。
その村上春樹氏のエルサレム賞受賞講演の英語ダイジェストを紹介した池田信夫 blog:壁と卵を読んで、いきなり謎の壁にぶち当たった。
So I have come to Jerusalem. I have a come as a novelist, that is - a spinner of lies.
“have a come”なんて初めて見る表現で、最初は“have come”の単純な誤植かな、と思ったけれど、色々調べてみると、かなり意味深なのじゃないかと思えて来た。もちろん、誤植の可能性もあるのだけれど。(元記事はここ、日本語訳はここ)
俗語ぽい表現を集めたUrban Dictionary “"come to jesus" ”を見ると、
Originally an emotional experience that is life changing, it has evolved to mean a serious argument, one that better result in a change of action or else.
My husband and I are going to have a "come to jesus" over this remodeling job.
or
I'm going to have a "come to jesus" with that kid about his drinking and partying.

とある。
つまり、「より良き変化をもたらす真摯な論争」という意味があるようだ。
また“Come To Jesus Meeting”とは、YahooQ&Aで
A firm lecturing, no non sense dressing down, comparable a Fire and Brimstone revival meeting
とあり、もはや冗談じゃない断固たる苦言、いう意味のようだ。
そうすると、村上春樹氏が語った“I have a come as a novelist”というのは、その前の“I have come to Jerusalem.”の“to Jerusalem”を省略したもので、つまりI “have a come to Jerusalem as a novelist”と言っているわけで、“ Jerusalem”をゆかりの深い“Jesus”に置き換えれば、「私は小説家として、より良き変化をもたらす真摯な論争をしたい」とも読める。もっと意訳すれば「私は小説家として、より良き変化をもたらす真摯な論争をしにエルサレムに来たのだ」と、出鼻でかましたとも読めなくもない。
際どく隠されてはいても、かなりハードボイルドな表明だ。「いい加減にしろ」とさえ言っているように見える。その後のスピーチもメタファーが多いが、おおむね最初のかましと平仄が合う。
“have a come ”の“a”が単純な誤植としたら“I have come”が2度も立て続けに来て、あまり格好良くない。村上氏は原稿を読んでいたから、思わず同じことを繰り返して言ってしまったというのも考えにくい。
そうすると、この宗教的表現から派生した言い回しは、多分、イスラエル人には通じている筈だ。
蛇足だが、“come”は名詞で使うとアレの意味もあり、これも別にeggという表現も使われているので“縁語”としても平仄が合う。
また、朝日は、
「壁は私たちを守ってくれると思われるが、私たちを殺し、また他人を冷淡に効率よく殺す理由にもなる」と述べた。イスラエルが進めるパレスチナとの分離壁の建設を意識した発言とみられる。
としているが、「壁」には同時にアラブ人とユダヤ人が武力衝突を起こした嘆きの壁事件も意識しているに違いない。
かなり練りに練ったスピーチに思える。
Clickで救えるblogがある⇒人気blogランキングブログランキング・にほんブログ村へ