7つの贈り物

sevenpounds公式サイト。原題:Seven Pounds。ガブリエル・ムッチーノ監督、ウィル・スミス、ロザリオ・ドーソンウディ・ハレルソンバリー・ペッパー、マイケル・イーリー。原題のpoundってどういう意味かなと考えたら、どうも保管所とか収容場という意味のようだ。つまり、人生の収容場に留置された7人をティム(自称ベン=ウィル・スミス)が解放する物語。
最初、彼は一体何やっているんだろうと訝るが、コンタクトを取る1人が盲目、もう1人が心臓移植が近々必要と思われる入院患者エミリー(ロザリオ・ドーソン)と分かると、ネタが呆気なく割れてしまう。ちなみに、ロザリオ・ドーソンは女子陸上100メートル世界記録保持者で心臓発作で急死したフローレンス・ジョイナーそっくりというのもただの偶然だろうか。
その選定の仕方に傲慢さを見る向きもあるかもしれないが、過ちを償うために自殺したい人間にとって、最後の自由というものだろう。効率的に「いい人」を見つけるために恩を売るような行為もするが、これは偽善ではない。妥協の産物だろう。時間が切迫しているのだ。選定したばかりでなく、愛してしまった人を救うと全て終了するのだから。
habukurageティムは子供の頃、沖縄でも訪れたのだろうか、映画に出て来る水族館は沖縄にある水族館とそっくりというか。ハブクラゲは沖縄に生息していて「死ぬこともありますよ」と地元の人に言われたことがある。しかし、少年のティムは怖がらず美しいと思う。ティムが海岸で物思いに耽るのは少年時代から心に刻まれたハブクラゲという死だ。「僕は嘘をついていた。実は毎日死のことを考えていた」というのは、ただ不注意で交通事故を起こし7人を死なせてからではないだろう。
死の観念が少年時代からこびりついていたからこそ、逆にどうすれば生命を活かせるのか、真剣に考える。航空工学のエンジニアのティムが考えたのは、正に工学的で、分解して生かせるパーツの効率的再利用。工学的生命観であって神になろうとしたのではないだろう。それは、エミリーの大切にしていた印刷機をわざわざ修繕することで最後の目標に向けて“予行演習”していることでも分かる。言うまでもなく、航空工学は絶えず人の死を考え、どう死を避けるかを第一に考えなければならない。そして、それゆえの彼の寂しさも。
ここまで思いを及ばすとかなり感動してしまう。
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