カフーを待ちわびて

kafu公式サイト原田マハ原作、中井庸友監督、玉山鉄二、マイコ、勝地涼尚玄、瀬名波孝子、宮川大輔ほんこん伊藤ゆみ白石美帆高岡早紀沢村一樹。「山のあなた〜徳市の恋〜」のマイコがここでも素性の知れぬ美女を演じる。マイコだけでも観る価値のある映画。沖縄のサンゴの砂浜とよく似合い、風景に溶けて消え入りそうな美しさ。
「1、2、3・・・」と目を開けたらそこにいたという風情で出現する幸(マイコ)。ユタのおばさん(瀬名波孝子)と住むその日暮らしの明青(玉山鉄二)は特段訝りもせずに受け入れてしまう。というか、謎を謎のままにそのまま受け入れるような態度。この雰囲気が独特でまるで幸があの世から舞い降りてきたかのようなのに頓着せず不思議でもないという風情は同じ沖縄を舞台にした「アコークロー」の世界と共通する。
幸が登るガジュマルの木もキジムナーと言う妖精が棲んでいるという伝承があり、キジムナーは「河童のクゥと夏休み」でも登場していた。沖縄趣味必須アイテム満載の良くも悪くも「沖縄病」に冒された映画ではある。
カフー」は「果報」の沖縄訛りだろう。本土の神社の絵馬が「果報」をもたらし、島に「カフー」となって送られる。
しかし、沖縄病がある意味もたらしたリゾート開発業者を無用に疑うシーンから粗が見えてくる。周りの人間が幸を「回し者」と疑うことはあっても、明青までそれを簡単に信じてしまうというのはどうか。明青は幸の息遣いまで知っている筈で、「回し者」かどうか判断できたはず。というよりも、たとえ「回し者」だったとしても、「どっちでもいいや」と思った方が明青らしいのに。
特に幸の第2の手紙は幸の存在を平凡なものに貶める裏切りでさえある。あまりにも都合のいいなるほど的な説明が過ぎる。たとえ幸が母親(高岡早紀)の化身ではあっても。最後まで謎の女性として貫くべきだった。そうであれば、エンドロールの後に「お帰りなさい」という本当のラストの幸がより効果的だったと思えるのだが。それにしても、リアルラストで、病に倒れ余命幾ばくもない筈のユタが元気一杯というのにはゾッとさせられたが。
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