東京中央郵便局は昭和記念公園に移せ

トキを焼き鳥にして食べるような話だ」とまたも名言を放った鳩山邦夫総務相(毎日)。東京中央郵便局のような昭和遺跡を集めるにふさわしい東京都立川市昭和記念公園という場所がある。
昭和記念公園昭和天皇在位50周年を記念したものだが、名前の割に昭和らしさがない。ただ整然と木々や花々が植えられているだけで、植物園でもなく自然公園というわけでもない。植物は植えられていても風情がない、かなり人工的なだだっ広い公園だ。主たる建物は設立名目通りに昭和天皇記念館ぐらいがあるだけだ。いくら昭和天皇が緑を愛されたと言っても、味も素っ気もない緑化公園だ。
そして、東京中央郵便局の一つや二つ、いや五つや十ぐらい十分に収容できるスペースがある。
植草一秀氏は「文化財としての価値が大きい建造物をどのように取り扱うのかについては、賛否両論があるだろう。東京駅前一等地の有効活用の重要性は理解できるが、東京駅丸の内の赤レンガ駅舎は文化財の価値を重視して保存されている。東京駅そのものを高層化すれば経済効率は高まるだろう。しかし、東京駅赤レンガ駅舎は文化財として保護されているのだ」(植草一秀の『知られざる真実』:東京中央郵便局視察鳩山総務相を攻撃するメディアの偏向報道)とされているが、ついでに赤レンガの東京丸の内駅舎だって移せばいい。丸の内駅舎は元は明治に建てられたものだが、現在の駅舎は戦時中の大空襲で破壊されたのを戦後になって修復したものだから実質昭和遺産だ。
JPタワー今の駅舎は明治のものよりはるかに劣るが保存されているのに、ブルーノ・タウトが「モダニズム建築の傑作」と評したより文化的価値が高い東京中央郵便局舎を取り壊して見てくれだけの“痕跡”を残すというのは如何なものか。こんな完成予想図(写真)、下半身だけトランスフォームし損なった何とかみたいで悲惨だ。
大体、大手町界隈には東京中央郵便局や東京丸の内駅舎だけでなく、大正時代に建設された日本工業倶楽部会館などもあったが、ことごとく高層化されてしまった。時計台のあった大和銀行ビルも時計台の痕跡だけ残して高層化されている。丸ビルだって耐震化の名目の元に取り壊されて高層化されてしまった。東京駅と皇居を結ぶ当たりは日本の顔のような所なのに風情も何もないものになって久しい。しかも建てられた高層ビルはどれも似たり寄ったりでろくなものではない。そのほか、正田邸も今はない。
今更、元に戻すわけには行かないからせめて東京中央郵便局や東京丸の内駅舎ぐらいは昭和記念公園に移設保存すべきだろう。現実、明治に建てられた初代帝国ホテルは明治村に保存されていて、一階部分にレストランやコーヒーショップなどがある。同様に昭和記念公園を「昭和村」にすればいいのだ。
鳩山邦夫総務相は正にギリギリのタイミングで「待った」をかけた。この人は趣味が昆虫採集のように単なる「政治バカ」ではない今時珍しい良い意味で空気読まない政治家だ。多分、文化財問題だけで待ったをかけたとも思えない。かんぽの宿問題のように東京中央郵便局も叩けば埃が出て来ると直感したこともあるのだろう。そして鳩山氏の勘は大体は当たる。
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