罪とか罰とか

tsumibatsu公式サイトケラリーノ・サンドロヴィッチ監督、成海璃子永山絢斗段田安則犬山イヌコ山崎一奥菜恵大倉孝二安藤サクラ串田和美麻生久美子佐藤江梨子石田卓也行定勲。グラビア誌に上下逆様に写真を掲載された崖っぷちグラビアアイドルのアヤメ(成海璃子)。映画自体も逆様状態で進んで行く。
美形でははあるが、売れないアヤメは「一つの微細なエゴは百の害悪に償われる」「売れない非凡人は、新たな成功のためなら、社会道徳を踏み外す権利を持つ」という独自の道徳理論をもとに、ひょんなことから一日警察署長になる。元カレの無意識殺人鬼春樹(永山絢斗)の犯罪を隠し、世の中を破壊しようと企てるも、偶然居合わせたコンビニ強盗まで巻き込んでしまう。この思いがけぬ強盗に、アヤメは善行の意識が増長し、正常な心に戻っていく。
↑無理矢理フョードル・ドストエフスキー罪と罰」に合わせてパラフレーズしてみたけれど、アヤメの周りで夥しい人が死に、アヤメも含めて誰も他人の死や殺人にびっくりしない。まるで目の前で起きている現実を新聞やテレビを見ているように反応する。その不感症ぶりが逆様グラビア的というか。アヤメと春樹の中で若干、人の死についての“哲学論争”も出て来るけれど、その“論争”も緊張感が完全に欠落している。
コンビニとマンションの出来事が合流し、壊れた卵の黄身と血の流れが合流し、ツレションの二筋の小便の流れが合流する。時間的ループもそれほどややこしくないので、次はあのシーンと合流かな、と大体予測できる。
21世紀の「罪と罰」はこんな具合に緩み放しで、流石のドストエフスキーも見たら卒倒しそうだ。けれど、今の人が見れば、それほどインパクト受けないだろう。おかしいけれど、大して笑う気も起きない。ギャグと分かっていても、別にそれほど日常感覚とかけ離れているわけでもないし。
元IT社長夫人奥菜恵が壊れた女で登場したり、それぞれ逆様模様で熱演。色んな人がカメオで出演しているが、やっぱりトラック助手席の麻生久美子が最高にいい。
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