法人税減税というドーピング

法人税減税、極端には法人税撤廃まで言っている人がいるけれど、その行き着く先は投資過剰による一層のバブルと格差拡大、国家財政破綻にしか思えない。
日本の法人税率の推移を見ると1990年の37.5%から1999年以降の30%まで下がり続けているのに今までは「失われた15年」で元の黙阿弥状態だ。国際競争力を保つためという常套句もおかしい。世界各国が法人税減税をすれば、量販店の安売り競争のようなもので下手すればチキンゲーム、どっちが先にくたばるかという悲惨な競争になる。実際、「世界各国とも法人税率が低下傾向」にある。
ましてや世界全部がケイマン化すれば世界はどうなってしまうのか。恐らくは、企業は世界中でチキンゲームに明け暮れ、国民は増税で疲弊してやる気を失い、需要増大はバブルによって無理矢理偽造され、更に悲惨な金融危機が訪れる。なぜなら、仮に法人税ゼロになって景気が良くなっても、競争があるので法人税を再度上げにくいので行き着くところに行って、再び景気が悪化すればもう打つ手がなくなる。無理に景気良くすればさらに悪性の不況に陥ることは今回の金融危機で証明されている。その時、法人税をマイナスにでもしろというのだろうか。
その挙句の果ては、ロシアや中国のような国家資本主義独裁的国家が相対的に有利になり、はなはだ拙いことになる。競争社会が善と思って何でも競争、法人税減税まで叩き売り競争すれば、皮肉なことに管理型資本主義国家だけが生き残ったということになりはしないか。そうなると、世界は独裁的国家にひれ伏してしまうことになりかねない。
生産性向上やイノベーションを促進すると言っても、こういうのは先進国のように上がれば上がるほどしんどくなる。オリンピックの世界記録と同じようなもので、最近のオリンピックは肉体そのものを鍛えることでは限界に達し、高地トレーニング、低酸素室とか無茶苦茶に肉体に負荷をかけたり、これだけでも無茶苦茶なのだけれど、それにも飽き足らず水着のスピードーピングレーザー・レーサーのようなイノベーション、筋肉増強剤のようなドーピングのイノベーション、テクノロジー頼みで、もう一体スポーツって何だったけと思えるくらい肉体の部品化、広告コンテンツ化が進んでいる。おまけに感動の偽造工作までマスメディアを使って行われている。(東京五輪招致反対!)
日銀の円安政策、超低金利政策で世界金融危機を誘発したことに懲りたと思ったら、今度は法人税ゼロ構想。これは経済政策におけるドーピングのようなものだろう。la_causette:一つ覚えにリンクされていたBudget Surplus? Tax Cut! Budget Deficit? Tax Cut! High Energy Prices? Tax Cut! Deep Recession? More Tax Cuts!って要するにそういうことだろう。
世界記録(経済成長)のためなら「欲しがりません勝つまでは」という戦時中の標語にどんどん似通ってきているように思える。
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