ヤッターマンの力学的考察

yatterman公式サイト三池崇史監督、櫻井翔福田沙紀深田恭子生瀬勝久ケンドーコバヤシ岡本杏理阿部サダヲ。引っ張る、引き抜く、引きずり出す、引き剥がす、を基本モチーフにしたワクワクドキドキ映画。実質主演はもちろん、フカキョンというかフトモモのドロンジョだ。ヤッターマンたちは「ダークナイト」のバットマンの如く影が薄い。あのコスチュームをどうやって引き剥がすかが、この映画の隠れたテーマ(としか思えない)。
ヤッターマン1号(櫻井翔)の武器ケンダマジックはリールを伸縮自在に引っ張って操られる。一つ間違えば何かを引き剥がしかねない危ない武器である。けれど、ドロンジョはその1号の引っ張る力に引っ張られていて、事故か引かれたのか、あろうことか敵の1号とキスしてしまう。
ドロンジョの部下のボヤッキー(生瀬勝久)は岩の下敷きになり、相棒の怪力トンズラー(ケンドーコバヤシ)に強引に引っ張り出されるが、ズボンとパンツは引き剥がされて、下半身丸出しの姿をドロンジョにさらしてしまい、逆にだんだん変な期待感が増していく仕組み。まさかこれだけですむまいて。元々ボヤッキーの最終目的だってそれに違いないのだ。ドクロベエの頭から引き抜かれて救出され海江田博士(阿部サダヲ)だって同じバリエーションだろう。
そして、肝心のドロンジョは実は入浴するとき一度はコスチュームを引き剥がされ(単に脱衣しただけ)ているのだけれど、全身を守る泡が引き流される。けれど、美味しい思いをするのはボヤッキーだけだ。ここで観客のフラストレーションを煽り、最終兵器が登場する。異次元トンネル。
物理学的に真剣に考えると首から下は恐ろしい力で閉ざしながら締め付ける異次元トンネルのあっち側にいってしまっているので、それを強引に引っ張り出そうというのだから、これはもう全てを犠牲にして引っ張り出すしかない。特にB86 W60 H88の凹凸部分の凸凸部分には極端に抵抗力がかかり、どう考えても強引に引っ張り出せば、結果は自ずと予想できるはず。
理論的に考えれば、フカキョンはマスクを除いて生まれたまんまのすっぽんぽんで救出されてしかるべきなのだ。映画的文脈でも、富士山だとかジェットコースターが突然消えているのだからコスチュームが消えてこそこの映画の真骨頂であろう。
でも、奇跡的にそうならず、五服満足で救出される。この時の失望感、裏切られた感ときたら。
ここには物理学的力学とは別の政治力学が働いているに違いないのだ。邦画がいま一歩脱皮できないのを象徴するようなシーンではあった。フカキョンは子供のアイドルというよりオヤジのアイドルだという認識が決定的に欠落しているのである。
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