「社会的制裁」という美味しい裁量権

SMAPの草なぎさんを起訴猶予 区検「反省している」(47NEWS)

東京区検は1日、公然わいせつ容疑で現行犯逮捕された人気グループSMAPのメンバー草なぎ剛さん(34)を起訴猶予処分とした。区検によると、反省し社会的制裁も受けていることなどが理由。

もう一つ。
高橋洋一元教授を起訴猶予 竹中平蔵元総務相のブレーン(同)

東京地検は27日までに、東京都練馬区にある温泉施設の脱衣所ロッカーから高級腕時計などを盗んだとして、窃盗容疑で警視庁練馬署から書類送検された高橋洋一東洋大教授(53)を起訴猶予処分にした。処分は24日付。東京地検は被害品の返却や、勤務先を免職され社会的制裁を受けたことを理由としている。

毎度お馴染みのパターンとはいえ、起訴猶予処分の理由に「社会的制裁」を既に受けているというのはまことに不公平な扱いだ。もし草なぎさんのように有名人でなく、また高橋さんのように大学を免職されるような社会的地位がなく、「社会的制裁」を受ける立場でなかったとしたら起訴していたかもよ、とでも言わんばかり。これは明らかに差別だ。その裏には有名人や社会的地位が高いと起訴するまでもなく、つまり公判という法的土俵に上がる前に相手を叩きのめせるという優越的力を持つことを意味している。
草なぎさんが逮捕相当で起訴相当でないというのなら、氏名の公表を避けるべきだった。高橋氏の行為が逮捕相当でなく、起訴も猶予するのなら、同じく氏名公表すべきでなかった。「社会的制裁」云々が影響するのならそうするのが相当で法の下の平等に反する。そもそも司法の判断で「社会的制裁」を考慮すること自体、不当な裁量だ。
なのに、なぜ有名人だと名前が出るかと言えば、マスコミが大きく扱えば担当捜査員も、担当検事も、時には担当判事も、“勲章”になるからだ。普通ならマスコミで小さく扱われる記事も特定のマスコミに特ダネとしてリークすれば、発表記事より大扱いされる。新聞記事で言えば、精々社会面の記事も、“スクープ”という理由だけで一面扱いになる。喜ぶのは特ダネもらった記者だけでなく、リークした方も自分の担当事件が大きく扱われることで組織内部のおぼえががめでたくなる。
よくリークは世論誘導と言われるけれど、大抵のリークはそんな次元の高いものではなく、要するにお互い“成績”を上げたいからだ。
だから有名人は美味しい。大した事件でなく、面倒な公判しなくて済む分、美味しい“勲章”になりやすい。「社会的制裁」という便利な理由も付けられるから「いいとこ取り」ができるのだ。
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