排出削減目標より化石燃料生産削減目標

温室ガス削減、経団連の意見に環境相「世界の笑い物」(朝日)

日本経団連は12日、温室効果ガスの2020年までの中期削減目標について、政府が示した6案のうち90年比4%増(05年比4%減)の第1案が合理的だとする意見を発表し、政府に提出した。選択肢のうち最も削減幅が小さい目標だが、欧米と比べた削減費用の公平性や国民負担の妥当性を考えた結果としている。
これに対し、斉藤環境相は12日の閣議後会見で「世界の笑い物になる。技術を持った日本が後ろ向きの目標を出すのは国際社会での地位をおとしめる」と批判した。
経団連は、温暖化対策が欧米に比べ進んでいる日本は、同じ量の二酸化炭素を削減するのにより多くの費用が必要と主張。オバマ米大統領が掲げた05年比14%減など、欧米の目標達成に必要な費用と同じ負担で日本が対策をとると第1案が妥当だとしている。

経団連が一番楽な第1案を選んだとて、それが「世界の笑い物」になるなら最初から政府案から外しておけばいいのだけれど、経済産業省の意向が絡んでいるんだろう。
それは、さておき、元々「排出削減目標」なんて、守らないのを前提に掲げられる。現に京都議定書の2012年までに1990年比6%マイナスをまず達成しようなんて全然出て来ない、というか、2020年の中期目標にはるかに緩い第1案が盛り込まれていること自体、事実上の反古宣言だ。ひたすら「排出削減目標」先送りだ。どうせ2020年に近づけば、今度は2050年目標に差し替えられる。お互い内心そう思いながら口先だけで批判し合っているだけだ。
これも、そもそも「排出削減目標」と、それに付随した排出権取引がデフォルト化して、それ以外の発想は認めないというのが国際社会の空気になっているからだ。
もし、排出ベースでなく、生産ベースで「化石燃料生産削減目標」を掲げれば、是非もなく、守らざるを得なくなる。世界の石炭、原油天然ガスの三大化石燃料の生産施設を全て国際管理下に置き、トータルで地中から地上に出す総炭素量を毎年、例えば前年比1%ずつ削減すれば、2050年には確実に排出量が50%減る。採炭、石油採掘、天然ガス会社企業は毎年の割り当て総炭素量に応じて化石燃料生産権取引を行う。
需要が逼迫するので、価格は上昇し、生産国にもハッピーだ。また炭素成分の多い石炭は相対的に石油や天然ガスより高くなる。
こうなると、排出削減目標などという言い争いの元はなくなる。いくら排出しても自由な代わりに価格が高くなるから省エネした方が得ですよ、ということだから、既に省エネが進んだ日本は不利どころか余裕が生まれる。引いてはエネルギー効率の良い日本国内の工場が見直され、工場の海外移転の歯止めになる。
問題は供給不足のはけ口が森林伐採につながると予想されること。その対策として「炭素本位制」がある。
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