温暖化ガス削減2020年中期目標は世界ぐるみのネズミ講

Inspired by
池田信夫 エコノMIX異論正論:日本の財政は世界最大のネズミ講

「1人殺すのは犯罪者だが、100万人殺せば英雄になる」といったのはチャプリンだが、ネズミ講も数億円だと犯罪になるが、1000兆円になると国民に堂々と発表できるようだ。先週、政府の経済財政諮問会議に出された「骨太の方針」の素案では、基礎的財政収支(プライマリーバランス)を2011年に黒字化する方針を放棄し、2020年ごろに黒字化するには消費税を12%に引き上げる必要があるという試算を公表した。これはバラマキ補正予算で発行する巨額の国債を、子孫の税金で償還しようというネズミ講だ。

これと同じようなネズミ講が地球音高対策で世界ぐるみで行われることになる。
温室効果ガス:2020年まで、中国に排出削減求めず 米が柔軟姿勢示す(毎日)

米国のトッド・スターン気候変動問題担当特使は12日、ワシントンで会見し、中国に対し、20年までの中期目標では温室効果ガス排出削減を求めない方針を示した。京都議定書で定めのない13年以降の温暖化対策を巡り、先進国と途上国の対立が続いている。米国が柔軟姿勢を示したことで、硬直化している交渉が進む可能性がある。
スターン特使は7〜10日、北京を訪れ、中国の温暖化対策やエネルギー政策の担当者と協議した。会見で「中国の関与なしに温暖化を防ぐことはできない」と強調。一方、中期目標について「対策なしに想定される排出量より大幅に抑えることを期待しているが、今から排出量を減らしてくれという意味ではない」と述べた。

日本とは言えば、
温暖化対策中期目標 麻生首相記者会見の要旨(朝日)

政府はあえて「05年比15%減(90年比8%減(」を目標とする。
この目標はヨーロッパの05年比13%減、米国の14%減を上回る。欧米は外国からお金で買ってきたぶんを加算しているが、日本は省エネなどの努力を積み上げたいわば「真水」の目標。日本だけが不利にならないよう国際交渉に全力で取り組む。

1年前の洞爺湖サミットでは首脳宣言で、
2050年までに世界全体の排出の少なくとも50%削減を達成する目標というビジョンを、UNFCCC(国連気候変動枠組条約)の全締約国と共有し、かつ、この目標をUNFCCCの下での交渉において、これら諸国と共に検討し、採択することを求める
としていたが、中期目標が腰砕け(日本は京都議定書の建前上の目標2012年までに1990年比6%削減なので、建前上2012年から8年間で2%削減で可)したのは、一つにはその直後に発生した世界金融危機もある。景気対策のためにはCO2をバラマキせざるを得ず、もはや京都議定書どころではなくなった。元々京都議定書の目標値ももこの12年間、ろくに対策して来なかったので、最初から建前だったのだけれど。
今後考えられることは、2017年頃には更に2035年中期目標を、例えば「2013年比30%削減」(1990年比マイナス10%)といった形で策定される悪寒がする。要するに問題の先送りだ。
これは、日本だけでなく、世界全体で先送りだ。排出削減目標を一種の債券に喩えれば、日本も世界全体が目に見えない排出債券を発行しているに等しい。そのうち、排出権取引だけでなく排出債券市場もできるかもしれない。
そうなると国債の発行残高と景気対策の板ばさみが起きるように排出債券発行残高と景気対策の板ばさみも起きる。
排出削減目標はいつの間にか排出債券残高問題に摩り替わり、「諸外国に比べてわが国排出債券残高は・・・・」なんて国会質問が行われ、「対GDP比では日本の排出債券残高は諸外国に比べて低い」などと答弁がなされ、いつの間にか実質的にどれだけCO2を排出しているかという本来の問題は誰も問題にしなくなるかもしれない。
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