バカに出来ない政治の芸能化

この10年くらい、政治ニュースがとみに芸能ニュース化している感がある。
一番頻繁に盛り上がるネタは両者で共通している。
辞める辞めないの揉め事(政治)vs.別れる別れないの揉め事(芸能)。
その対のケースとして、就任する就任しない、結婚する結婚しないのくっつくくっつかないネタ。プラス献金疑惑(政治)と不倫疑惑(芸能)
例を挙げればきりがないので、最小限だけ挙げると、東国原英夫宮崎県知事の大臣就任or not、鳩山由紀夫民主党代表の故人献金、その弟の鳩山邦夫総務相の辞める辞めない、などなど。日本の総理大臣は2人連続辞めているし、麻生太郎首相の場合は逆にいつまでたっても辞めないというただそれだけで注目を浴びている。
もはや芸能人の離婚・結婚・不倫騒動とだんだん見分けがつかなくなってきた。というか、もはや同じレベルだろう。そのココロはどっちも人気商売なので情報化時代の今、やることなすこと全て似通ってくるということ。
東国原知事「ぼくが行ったら負けぬ」「次の知事は傀儡」(朝日)

自民党サイドからの次期衆院選への出馬要請に対する受諾条件に、自身を総裁候補にすることなどを挙げている点に関連し、「民主党は次期代表に私を選ばないでしょう。自民党総裁になる方が可能性は民主党(代表)より高い」などと話した。


東国原知事がなぜこうも脚光を浴びるのかも分かる気がする。こんな政治芸能化状況の中で、最初から芸能ニュース・プロパーの東国原知事は強い。注目されるツボを最初から心得ていて、その時その場のノリに敏感で瞬間的に反応する芸がある。それがまた重宝される。
彼は分かっているのだ。自分を含め、橋下徹大阪府知事らの首長グループの政党支持表明構想も、そのココロは自民党支援別働隊であることも。彼らが掲げる「地方分権」が、自民党が前の参院選挙で失った地方の集票基盤の失地回復の隠れ蓑の大義名分であることも。分かっているからこそ、つっぱねられないとたかをくくって平気で大言壮語できる。
けれど、所詮、首長グループの政党支持構想も「アニメの殿堂」と同じ麻生太郎流思い付き構想に過ぎないのだけれど。要は人気出そうなので利用しようというわけで、東国原知事橋下知事もアニメと同じ「地方分権の殿堂」というわけだ。当然両方とも無駄であることも共通している。
橋下大阪府知事:首長グループ構想 政党支持を事実上断念(毎日)

大阪府橋下徹知事は1日、次期衆院選に向けた首長の政治グループ結成構想に関し、「政党支持まで掲げると、(首長の)参加は厳しいかと思う」と述べ、グループとしての政党支持を事実上断念する考えを示した。これに先立ち、大阪市内のホテルで開いた府内の市町村長への説明会では、出席者から「政党支持を言うなら参加できない」など否定的な意見が相次いだ。

普通に考えれば、首長が横並びで国政の政党支持表明するなんて茶番劇に決まっているのだけれど、こうも政治が芸能化すると、それがおかしくなくなるという現象になってしまう。
東国原知事も自分の役割が、この茶番劇の目くらまし役なのだということを自覚していたのだろうか。あるいは自分自身が自分自身を目くらまししてしまったのか。ま、そんなことは実は政治の芸能化状況にあってはどっちでもいいのだろうけど。
玄倉川の岸辺:東国原英夫の野望 覇王伝

一週間前「衆院選出馬の打診を受け、逆に総裁候補としての処遇と地方分権を要求」という最初のニュースが伝えられたときには、マスコミも世論もおおむね好意的だった。とはいっても、東国原氏が期待したはずの「それはいい、ぜひやれ」という応援よりも「面白いこと言うなあ、さすが芸人だ」という感じでネタとして受け取る向きが多かった。
私はこのときに「あ、これは危ない」と思った。東国原氏が利口なら「好意」をうまくふくらませ、「ネタだろ」というからかいをだんだんしぼませてしっかりした支持に作り変えることは可能だ。マスコミの後押しがあればさらにたやすい。これはひょっとしてひょっとするかも、「東国原総裁」「東国原総理大臣」が実現してしまう可能性が10%、もしかしたら30%くらいあるんじゃないかと本気でおののいた。

はたして本気で首相になる野望を持っているのかどうかともかく、次の衆議院選挙で自民党から立候補して「地方分権」を大義名分に戦えば、自民党に確実に恩を売れるのは間違いないのも事実だろう。前の選挙のホリエモン的役割プラス国政で実際的論功行賞を得られる。まだ終わっていないし、終わる気もないだろう。むしろ今のところ“目くらまし作戦”は成功しているとさえ思える。「勘違い」という批判も織り込み済みなのだろう。ホリエモンだって落選しても小泉改革の熱狂のブースター役として一定の役割果たしたのだから。そもそも東国原氏が知事選で勝利したという事実は紛れもない事実なのだから。これだけでも冗談が冗談でなくなっている実績があるのだ。政治の芸能化は石原・青島以来もう40年の歴史があり、あながちピエロでないところが今の現実なのだから。
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