池田信夫氏の民主党内需拡大策批判は経済学的にも誤り

池田信夫 blog:「内需拡大」についての誤解

民主党マニフェストは「成長戦略」についての修正で、
子ども手当、高校無償化、高速道路無料化、暫定税率廃止などの政策により、家計の可処分所得を増やし、消費を拡大します。それによって日本の経済を内需主導型へ転換し、安定した経済成長を実現します。
と書いているが、これは誤りである。このような「内需」の財源はすべて税か国債であり、所得再分配にすぎない。たとえば子供手当をもらう家庭の可処分所得の増加は、配偶者控除や扶養控除を減らされる子供のない家庭の可処分所得の減少で相殺されるので、ネットの消費は増えない。

誤りなのは池田さんの方ね。
特に

たとえば子供手当をもらう家庭の可処分所得の増加は、配偶者控除や扶養控除を減らされる子供のない家庭の可処分所得の減少で相殺されるので、ネットの消費は増えない。

に絞ると完全な誤り。一般的に「子供のない家庭」と「子供のある家庭」では前者の方が貯蓄性向が高く、後者は低いと見られる。つまり、消費性向は逆に前者が低く後者が高い。平たく言えば、子育て費用がかかる分、子供のある家庭は余剰的な消費、つまりレジャーなどなど楽しむための消費が少ないと考えられる。
子ども手当に関し、「親がパチンコに使ったらどうするんだ」なんて批判した人がいたらしいけれど、間の抜けた批判で、パチンコに行けるだけの余裕がないから子ども手当もらうんだろうが。
実際にはともかく仮にこれが完全に

所得再分配にすぎない。

としたら、消費ののりしろの少ない家庭からのりしろの余地(お金があったら、アレも買いたいのに度)がある家庭への再分配だから、全体的には貯蓄性向が低まり、消費性向が高くなって個人消費の増加が期待される。
もっとも、この子ども手当少子化対策というより大きな視野から見れば誤りだろう。若い世代の年寄り世代の年金の負担能力を増やすための少子化対策というのは近視眼的で、環境負荷を考えれば邪道ではある。
環境政策から見てむしろ、問題なのは高速道路無料化、暫定税率廃止の方だろう。恐らく民主党はその代替案として炭素税でも考えているのだろうが、現下の景気状況を考慮して隠しているのだろう。包み隠さず炭素税を掲げたほうがより説得力がある。
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