10年でエコカー普及という福山哲郎議員の能天気

遅まきながら「朝まで生テレビ:鳩山新政権の理想と現実」を録画で視聴。

司会:田原総一朗 進行:長野智子渡辺宜嗣(テレビ朝日アナウンサー)
パネリスト:大塚耕平(民主党参議院議員内閣府副大臣)
福山哲郎(民主党参議院議員、外務副大臣)
簗瀬進(民主党参議院議員)
近藤正道(社民党参議院議員)
下地幹郎(国民新党衆議院議員)
茂木敏充(自民党衆議院議員)
世耕弘成(自民党参議院議員)
上杉隆(ジャーナリスト)
香山リカ(精神科医)
澤昭裕(21世紀政策研究所研究主幹)
村田晃嗣(同志社大学教授)
本間正明(近畿大学世界経済研究所所長)
湯浅誠(反貧困ネットワーク事務局長)

一番気になったのはこの部分。

福山哲郎「レコードがCDに変わった時、7年でマーケットが変わっているんです。固定電話が携帯に変わった時も7年で変わっているんです。新たな技術ができてマーケットが大きくなって価格が安くなれば実は10年以内に変わるんですね」

この発言は鳩山イニシアチブの2020年までに温室効果ガス25%削減に必要な施策の政府試算、

太陽光発電を現状の55倍
・次世代エコカーの販売の義務化(保有台数の40%以上に)
・新築はすべて断熱住宅へ、建築済にも改築義務
・旧来型給湯器の保有禁止、効率型へ

のパネルを呈示しながら田原総一朗氏が「今の自動車は売れなくなるの」と質した時の答え。つまり、福山氏は10年以内、つまりは2020年までに日本国内の車は電気自動車やハイブリッド車が主流になると言っておられることになる。福山氏は他にも例を挙げたかったようだが、恐らく薄型テレビもそうなのだろう。
しかし、電気自動車にしても、太陽光発電にしても、燃料電池にしても実際にはそんな新しい技術じゃない。電気自動車も太陽電池燃料電池も19世紀に発明されたものだし、風力発電に至っては、紀元前の古代エジプトまで遡る。発電するか臼を挽いて小麦粉を作るかの違いで基本原理は何も変わらない。そんな古典的な技術とデジタルカメラや携帯電話を比べること自体無理がある。あまりにも能天気な未来予測としかいいようがない。
仮にトラックなど貨物系を除いて乗用車の40%以上がエコカーになったとすると、副作用として日本の消費者物価指数はまたしても実感なく下降するのだろうなあ、ということ。そして一部の経済学者がまたしても、日常生活に必要な商品の物価が下がっていないにもかかわらずデフレスパイラルだと大騒ぎするとか。
薄型テレビやデジタルカメラの普及ですら食糧価格や資源高の中で実感なき消費者物価指数下落を味わったことは記憶に新しい。これがより大型の買い物である乗用車となると、さらに大きなスケールで消費者物価指数が下落するのだろうなあ。何せ今の電気自動車なんてバカ高い。性能比較では通常型乗用車と比較にならないくらい低いのだから見た目以上にバカ高い。
しかし、通常型乗用車からエコカーに変わって、そのエコカーが以前のエコカーに比べて大幅に下落したとしても、物価が下がったと言えるのかどうか。デジタル家電の場合は、それなりに利便性が旧来種より向上しているからいいとしても、エコカーは低炭素性のような付随的効果を除いて、乗用車という人を運ぶという機能だけを考えれば、いくら性能の良いエコカーが登場し、それが通常型車並に価格が下落したとしても、機能性は通常型乗用車に劣ると思う。特に電気自動車走行距離や搭載可能重量で逆立ちしても負けるだろう。
もし、消費者物価指数の計算でエコカーデジタル家電並に扱われて、消費者物価指数を押し下げることになったら反則だろう。その結果、消費者物価指数が下がっているのに実感がなく、給料だけそれを理由に下げられてしまう懸念がある。
ところで、繰言になるが、仮にエコカーが7年法則とやらで一般に普及しても、世界全体の二酸化炭素排出削減にはならない。また石油精製会社はだぶついた自動車燃料をどうするのだろうか。原油を蒸留する過程で必ず自動車燃料が出て来る。良く分からないが、いっそ石油精製所に発電所を併設してガソリン発電したらどうなのか。そうすると、当然CO2は排出されるのだけれど、その分、火力発電所を減らせる。しかし、どうせ電気自動車で電力需要は増加するのだから気が付けば、行って来いで排出削減に何も役立ちませんでした、というオチにはならないのだろうか。
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