国際ハブ空港は時代遅れになる公算が高い

「羽田ハブ化」へ急旋回 国交相が意向、国際競争力にらむ(日経)

前原誠司国土交通相羽田空港の国際化を本格的に進め航空網の拠点である「ハブ空港」にする方針を表明した。国交省は国際線中心の成田空港に配慮しつつ羽田を国際化してきたが、国交相が「成田・羽田の国際・国内の分離を取っ払う」と踏み込んだため波紋を広げている。羽田国際化には利便性や国際競争力の向上などメリットが大きい半面、実現には地方自治体との調整などハードルも多い。

国交相、国際線は成田中心「変わらず」 発言トーンダウン(同)

「24時間国際空港化を進める。成田空港と一体運営していく」と述べた。千葉県の森田健作知事と会談した後、国交省内で記者団に語った。羽田は国内線、成田は国際線という役割分担についても「(成田が国際線の中心である状況は)変わらない」として、維持する考えを示唆した。「羽田を国際ハブ空港にする」との前日までの発言は大幅にトーンダウンした格好だ。

「国際ハブ空港」と言っても、色々定義がある。羽田を国際ハブ空港にしてもあくまでスポークの部分は国内線であって、国際線は無理筋だ。よく言われる韓国の仁川国際空港とか香港国際空港と対抗なんてナンセンスだ。仁川にしてもハブだから人気があるのではなく、安いからだ。総じてアジアの航空会社は日本の航空会社より安いからいくら羽田をハブにしても勝てるわけないから、見栄はってくだらない競争してもしょうがない。そんなことより成田の第2滑走路を早く延長し、2本の滑走路とも長距離便が離着陸できるようにし、出発便、着陸便を完全に分けられる態勢を整えることを最優先すべきだ。開港から30年も経つのにいまだ成田は国際空港の体をなしていない。
国内線はともかく国際線の乗り継ぎは将来的には少なくなるだろう。新世代の航空機の航続距離が伸び、15,000kmノンストップ便が主流になると、ハブの役割が相対的に低くなるだろう。
世界最大の旅客機エアバスA380の航続距離は15,200 km。ハイテクジャンボの改良型のボーイング747-8は14,815kmで、ともに従来型超大型機より3000〜4000km長く無着陸で飛べる。地球を半周するのは2万kmなので、ほとんどはノンストップで飛べるようになる。
現在就航中の747-400ERだって14,205km、大型機のエアバスA340-500に至っては16,000kmだ。この機材で既にシンガポール―ニューヨーク間をノンストップで飛んでいる。
近く就航する中型機のボーイング787-9は16,300kmだ。超大型機も大型機も中型機も超長距離を飛ぶようになる頃には誰もハブ空港なんて騒がなくなるだろう。日本でトランジットする客は今以上に減るのは確実だ。
「国内ハブ」化してもアジアと地方空港との間では既に直行便が相当飛んでいるので、羽田をハブ化しても競合する可能性が高い。かと言って欧米などからの遠距離便を羽田に乗り入れたら成田の陰が薄くなり、収拾がつかなくなる怖れがある。例えば、同じ欧州(米国)航空会社でもA社は羽田、B社は成田と棲み分けすれば、A社が圧倒的に優位になる。成田は格安航空会社でも乗り入れさせるしかないことになりかねない。
ハブ、ハブと騒いでいざ「国際ハブ空港」になった時は既に時代遅れになっている可能性が高い。
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