クライメートゲートのおバカトリックに乗った日本のマスコミ

温暖化データの操作疑惑が話題に COP15(日経)

コペンハーゲンで開催中の第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)で、地球温暖化を示すデータが欧州の科学者らによって意図的に操作されていたとの疑惑が話題になっている。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のパチャウリ議長らは相次ぎ、温暖化の危険性や対策の必要性は変わらないと表明し影響の広がりを否定した。
疑惑はIPCCの研究にも携わる英イーストアングリア大学の著名気候学者のメールが外部に流出したことが発端。気温の下降傾向が見えにくくなるようデータを操作したとも受け取れる記述が見つかり、COP15での合意形成に影響を与えるとの懸念も出ていた。

もう最初から馬鹿馬鹿しいと分かっていたのでスルーしようかと思っていたら、今になって日本の全国紙も次々と報道しているようだ。まだ日経の記事はまともな方だが、ちょっとClimategateのトリックなるものを考えてみた。
一番のハイライトはEast Anglia Confirmed Emails from the Climate Research Unit - 942777075.txtであるらしい。

I've just completed Mike's Nature trick of adding in the real temps to each series for the last 20 years (ie from 1981 onwards) amd from 1961 for Keith's to hide the decline. Mike's series got the annual land and marine values while the other two got April-Sept for NH land N of 20N. The latter two are real for 1999, while the estimate for 1999 for NH combined is +0.44C wrt 61-90. The Global estimate for 1999 with data through Oct is +0.35C cf. 0.57 for 1998.
Thanks for the comments, Ray.
(マイクがネーチャーに出したものに1981年からの過去20年間と、キースの1961年以降の20年間のものに、実測気温に加味して降下を隠す処理をやっとやり遂げたよ。マイクのは北半球の年間の陸地と海洋の数値で、ほかの2つは北半球の北緯20度までの陸地。後者2つは1999年が実測、対して1999年の北半球の合算推定値は61年から90年を参照してプラス0.44度。1999年の10月までの通しの北半球推定気温は1998年の0.57度を参照してプラス0.35度になった。)

マイクとは、ホッケースティックの元祖マイケル・マンのこと。
一体何のことやら、これだけではわからない。そもそもは実測値が残っている過去150年くらいを元に、木の年輪などの記録を照らし合わせて実測値が存在する以前の気温を推し量ろうというものだ。
年輪で推定できる気温は、当たり前のことだが陸地に限られる。海には木が生えていないので当然だろう。
つまり、キースらの陸地限定気温データが年輪と照合するためのものだったと思われる。その照合から導き出された推定値を加味して海洋を含めた北半球全体の推定気温を導出し、それを元に実測値のない年代に投射して過去の気温の推定値を導き出したということだろう。実際にはもっとややこしいことをしていることは想像に難くない。
この場合、巷間言われているように文字通り「隠す」意図があったとしても無意味だろう。もし、実測値を隠して高めに設定すれば、それを元にした過去の気温も隠した分、高く出るはずだ。却って藪蛇になるだけだ。そんな下手な“トリック”やっていたとしたら、彼らは単なるおバカということになる。実態は北半球の陸地限定気温だけだと1961年から20年間の気温が低めに出るからだ。(参照)。海面水温と世界全体の気温はそれと比較してそんなに下がっていない。
そもそも、1961年から20年間を隠す意味が不明だ。実測値が存在している時期に何をどう隠すというのか。隠しようがないではないか。
大体、隠そうが隠すまいがホッケースティックであることには何ら変わらない。実際のホッケースティックでも誤差が灰色部分で表示されていて、隠されてはいない。
この作図を見れば明らかのように、1961−90までをスムーズにして0と基準値を置いたものだ。ただそれだけのことなのだ。その後、ホッケースティックが修正されたのは、文字通りより信頼性の高いデータでの修正に過ぎない。それをまあ、田中宇氏などは、

指標値と実測値を接ぎ木すること自体に問題がなくても、接ぎ木した部分が1960年前後であることは、意図的な歪曲の疑いがある。

と、わけのわからないことを書いているのだが、技術的に単純な接ぎ木などできないから苦労しているというのにお気楽なものだ。そもそも単純に接ぎ木するなら1850年あたりで接ぎ木すればいいだけで、実測値がある1960年だの1940年だので接ぎ木する必要ないし、第一、そんなお粗末なことしたらいっぺんにバレてしまう。
これをもって操作されたというのは、まさにおバカというしかないのだが、まさか大手新聞までこんなお粗末な“スキャンダル”をまともぽく取り上げるとは呆れる。まあ、何かあった場合のリスクヘッジのためのアリバイ記事で、IPCCの会見に合わせて書いたのだろうけど。なら、もっと早めに書けばいいのに、各社横並びで様子見していたんだろう。欧米のまともなメディアではまともに取り上げられていない。取り上げてもストレートなニュース記事としてでなく、一つのスキャンダルのエピソードとして紹介しているだけだ。全く何を考えているのやら。
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