八ツ墓ダム

八ッ場ダムに「もう一本の巨大橋脚」の愚(保坂展人のどこどこ日記)

この数カ月、多くの人々は「八ッ場ダム」は政権交代によって中止されたものと受け止められている。だが、地元は違う。「八ッ場ダムは必ず事業復活する。その証拠に工事は止まっていない」と言う。そんな印象を与えてしまうのは、「本体工事だけ中止、生活関連の工事は継続」という国のあいまいな方針による。今や、「八ッ場ダム観光」の名所となった巨大なT字型の「湖面2号橋」だが、あの道路の工事が続いていることは知られている。「あそこまで出来たのだから、もったいない」という主張もあるだろう。しかし、川原湯温泉のところに、もうひとつの更に巨大な「湖面1号橋」が着工されようとしていると聞いて、とんでもないことだと思う。八ッ場ダムが出来ることを前提に、橋が計画された。中止をするのなら、あの巨大な高さは必要としない。巨額の工事費を垂れ流して、ダム事業中止にともなう「生活再建費用」の財源がありませんなどと言うことになったらどうする。

この保坂さんの感想、3か月前に前原誠司国土交通相が就任早々に八ッ場ダム工事中止を宣言してから同じ感想を持っていた。当時、前原国交相はテレビ出演して、よくテレビの映像に出てくる作りかけの巨大橋脚が廃墟になるんですかと尋ねられ、「ああ、あの橋脚は代替道路をつなぐためのものですから工事は続けられますよ」と答えたのを聞いて奇異な感じを持っていた。
わけがわからない。ダムを造らず、人工湖もできないのなら、代替道路も要らない。新川湯温泉も要らない。代替住宅地の造成も中止してしかるべきだ。しかも約350世帯のうち300世帯は既に別の場所に引っ越している。50世帯を今更引っ越してもらう必然性などない。要するに何もかも中止できるはずだ。
なのにダム本体以外の工事は意味不明に粛々と進められている。まるで八つ墓村のたたりの世界ではないか。何か目に見えない力によってゾンビが工事を進めているような感じなのだ。
大体、着工した場合でも中止した場合でも、ダム工事以外の補償や移転費用は同じ。こんなわけのわからない公共事業の中止などない。
いまだ誰もまともな説明しようとしない。保坂さんには是非とも金田一耕助になっていただきたい。
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