ワールドカップ談議化したCOP15論議

マル激トーク・オン・ディマンド@神保・宮台COP15現地報告:新しいゲームが始まった

日本政府交渉団の一員として会議に出席し、最終合意まで実際の交渉の最前線に立ってきた福山哲郎外務副大臣も、環境NGOの立場からCOPをウオッチしてきたNGO環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長も、ともに今回の会議の成果を非常に肯定的に評価している。

というのがこの番組の骨子なんだけれど、だんだんこのCOPシリーズそのものが4年ごとに巻き起こるサッカーのワールドカップ談議に似ているなと思えてくる。2010年の岡田ジャパンはベスト4が目標だそうだが、これは何か鳩山由紀夫首相が宣言した2020年までに1990年比25%削減目標の鳩山イニシアチブとかぶってくる。岡田イニシアチブに現実性があるのかというワールドカップ談議と実は大して変わらないノリで楽しそうに語られているのではないか。
番組の中身もほぼ100%国別対抗ゲームのノリで語られており、タイトルも「新しいゲームが始まった」なのだから、それなりに平仄が合っている。実際には「新しいゲーム」などちっとも始まっていないのに痛ましい話でさえある。
「中国の1人勝ち」とか、「国益を守るのに成功した」とか「日本は鳩山さん(岡田さん)で良かった」とか、ノリが合っている。「京都議定書の最大の欠点だった中国とアメリカを国際協調の枠組みの中に取り込めた」は、「中国がW杯に初参加」というワールドカップ談議と同じノリだ。
談議している当人たちは、そんなつもりじゃないのだろうけれど、そもそもワールドカップも4年ごとに繰り返し談議の花が咲き、その時その時においてリアリティがあり、わくわく感がある。COPシリーズも同様で、その時その時には「成果」や「成功」をリアリティをもって語られるのだ。
実際はCOP3から12年、地球サミットから17年経って、枠組みの前進だけが徒に「成果」として上がっていても、本来の削減成果には何ら実効的な成果は上がっておらず、「COPも京都議定書もとっくに破綻している」のに、「非常に大きな一歩」と評価し、「鳩山さんもオバマさんも政府専用機の出発をずらしたというのはすごいこと」(福山哲郎外務副大臣)と単なるエピソードとか「オバマ・マジック」「2℃から1.5℃に初めてなった」(飯田哲也氏)と実際には何の実効性の裏付けのない「成果表明」をこれだけ熱く語れるのは、繰り返しによるご破算症候群に陥っているという意味においてワールドカップ熱と何ら変わりない。
人間は実効性がないと分かっている話題だと却って熱く語れる動物なのかもしれない。
「今回のCOP15の終わり方が勘違いなくどういう意味を持っているのかの理解が国民的に共有されないとなかなか難しい」(宮台真司氏)と言われたって、京都議定書、COP自体が勘違いの所産で、それにこだわっていること自体が大いなる勘違いなのだ。もうその結果はとっくに出ていて申し開きできる時期はとっくに過ぎている。このままでは、2020年が近付けば再び2015年比で何%削減という新しい繰り返しのゲームが行われるだけだろう。
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