円高≒不況という刷り込み

菅氏「もう少し円安方向に進めばいい」 円急落、一時92円台後半(日経)

菅直人副総理兼財務・経済財政相は7日午後、財務相としての就任記者会見で、円相場の水準について「一時に比べて円高は是正されているが、もう少し円安方向に進めばいいと考えている」と述べた。そのうえで「経済界では1ドル=90円台半ばが貿易との関係で適切との見方が多い」と指摘した。「適切な水準になるように日銀と連携して努力する」と語った。

別に口先介入にあれこれ言ってもしょうがないけれど、「一時に比べて円高は是正」だの、なんでこうも自国の通貨価値が上がることを忌み嫌うのだろう。普通に考えれば、喜ばしい。ましてや日銀と連携して「適切な水準」に導くのなら、実質的に為替管理であり、「新興国」の中国と変わらない。まさか、あの勝間和代氏の1ドル=120円の時限的固定相場制論を本気にして影響されたのじゃないだろうね。
勝間和代さんのデフレ退治策、菅直人副総理は納得せず2009年11月06日

菅担当相は「デフレを退治し、若年雇用を大きく改善するという勝間さんの案は極めて魅力的」「日銀に言えばやってくれるのならば明日にでも言いたい」と述べつつも、実際にはその有効性に疑問の様子。勝間さんが「現在の税収のなかで財政を見直してもどうしてもお金が足りない」とさらに迫るのに対して、菅担当相は「カネがないのではなく知恵がないのだと私は言っている。カネを使わないで需要がふえる方法を考えたい」と最後まで距離を置いた。

とまあ、前半部分は賛同していた。
大体、こんな円安誘導策は世界の現状から見れば、ナンセンス。既に新興国は復活し、またしても資源価格が上がり始めている。民主党は昨年末の新成長戦略で「アジアのGDP倍増」を謳っている。日本以外のアジアのGDPが倍増するということは、アジアの労働者の賃金も生活水準も2倍になるということだ。そうすると、日本とその他のアジアとの賃金格差が縮小し、生活水準が2倍レベルアップすることでまたしても原油価格、食糧価格、鋼材などの資材価格も高騰する。2年前はその前奏曲に過ぎず、たまたま金融危機で一時お休みになっただけだ。
ということは、巷間騒がれている「デフレブーム」なんてあっという間に吹っ飛んでしまう。「広い意味の量的緩和」なんかしたって、そのカネはすぐに投資効率の高い外国に逝ってしまうだけで、「デフレ克服」なんぞに何の役にも立たないのだけれど。
2年前、「買い負ける」という言葉がはやったが、マグロなど高級食材などを買いつけたくても中国がもっと価格を吊り上げて買えなくなってしまう現象を表した言葉だ。遅かれ早かれ、同じような現象が再び問題化することだろう。たった2年前のことなのにもう忘れられたのだろうか。
そんな中で、円の購買力を下げる「もう少し円安方向に進めばいい」なんて言う財務相って何なのだろう。円安になれば、ますます「買い負ける」ことになる。余計なことは言わないで欲しい。元々民主党藤井裕久財務相のように円高容認だったはずなのに高が勝間和代氏ごときに・・・(ry
それにしても、円高≒不況という刷り込みは高度経済成長時代の骨董品的遺物と思えるのだけれど。今更なんで懲りずに円安にこだわるのか。そもそも今は円高ではなく、ドル安なのだけれど。
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