ナンセンスの二乗のような磯崎哲也公認会計士の預金税構想

磯崎哲也公認会計士:政治家のみなさんに向けた会計の初歩の初歩を読んでズッコケてしまった。

このため、私は「預金に課税するべきだ」という主張をしております。
これは、共産党がおっしゃる「内部留保への課税」とは(似てるように聞こえるかも知れませんが)全く異なるものです。
なぜなら、内部留保は貸方(右)で預金は借方(左)であって、概念が全く異なりますので。

概念が異なろうが、右だろうが左だろうが、右の内部留保なくして左の預金は有り得ない。内部留保に課税することは明らかに二重課税だが、じゃあ、左の預金に化けた内部留保に課税すれば、左は資産なので資産課税ということになる。しかし、資産課税する理由が「成長に繋がらない」からなのだという。同じ左でも固定資産なら「商売に使っているし、他社の売り上げに繋がる」から課税する必要ないのだという。もっとも固定資産にすると、別の税が発生するが新たな資産課税は発生しない。
摩訶不思議な論理だ。
企業が内部留保を固定資産に使ったら他社の売り上げに繋がるのなら、企業が銀行に預金した金も、銀行が(企業の代わりに)固定資産(株式なども含む)を買えば同じように「他社の売り上げに繋がる」はずだと思うけれど。むしろ、企業が他の業界の固定資産に投資しても、その業界に不案内なら投資に失敗するリスクが高い。そんなことは少なくとも機関投資家である銀行に任せた方がいい、というのが効率的な資本システムだと思うのだけれど。そりゃ、銀行だって投資に失敗する可能性もあるけれど。
不思議なのは、一方では銀行に預けても使い道がないから「成長に繋がらない」と言っておきながら、企業が直接固定資産に投資する余地はいっぱいあるかのような書き方であること。これ、どう見ても矛盾している。投資先がないのは銀行だろうが企業であろうが同じでしょ。

世界中で企業部門が貯蓄超過になっているのは日本だけだ。

(池田信夫blog)というのも、どう見ても同じ理由によるもので、それを無理矢理投資したら・・・マズーになる可能性大。
一応、磯崎さんって公認会計士みたいだから私ごとき素人には分からない知見があるのかもしれない。けれど、少なくとも他のエントリーを見ても、私のような素人の疑問に対しては説明してもらっていない。
特に預金に課税すれば、株式市場も不動産市場もバブリー化するだけで成長に繋がらないのはインフレターゲット、日銀による国債買い取りと結局同じ理屈だと思う。その前に企業が一斉に預金を引き揚げれば取り付け騒ぎになる可能性もあると思うけれど、それはまあ置くとしよう。
大体、なんで成長に繋がらなければ課税されなければならんの。会社法のことは知らないけれど、「会社は経済成長のために努力する義務がある」なんて書いていないと思う。企業は成長を目的にしていると錯覚され安いけれど、企業自体は成長に価値中立だ。
そもそも預金すれば成長に繋がらない、固定資産を買えば成長に繋がるということ自体が無茶苦茶乱暴な議論で、簡単に言えば固定資産は成長に繋がるかもしれないが同時にカネをどぶに捨てるリスクもあると書かねばならない。
とすると、預金課税を言い換えれば、「投資リスクは国が負担しますので預金しないでください」ということだ。なぜなら投資すれば、投資価値があろうがなかろうが課税しませんということなのだから。
これってめぐりめぐって投資に対する補助金だから、補助金以上に投資成果が上がり税収増ならOKだけれど、もちろんその逆もあり、特別損失計上、赤字⇒税収減も当然有り得る。こういうことばっか20年間続けていつのまにか国の借金九百兆円超えますた、というのが今ここの時点。預金税でまた国の借金が上積みされるリスクが高い。あくまでリスクだけど。結局、預金税導入すれば一般企業が国債を買い、国債買い支え組合が大きくなって、国債暴落リスクは先延ばしされるかもしれないけれど。
もういい加減、成長によって財政再建しようなんて不可能な夢あきらめたら。
そんな呑気な状態でないことは公認会計士さんなら分かると思うけれど。
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