安藤美姫はトヨタバッシングと“悲劇のヒロイン”の犠牲者になるのか
07年世界選手権覇者の安藤美姫(22=トヨタ自動車)は、64・76点でメダル射程圏の4位につけた。攻めの姿勢を貫いたが、3回転+3回転の連続ジャンプに失敗した。SP3位のロシェット(カナダ)との差は6・60点。25日(日本時間26日)のフリーは、逆転での表彰台を狙う。
後悔はしていないが、悔しさが残った。今季1度も成功していない連続3回転ジャンプは、後半が回転不足になった。最終滑走者の安藤は「自分らしく、練習したことを発揮したいと思ったから」と挑戦の理由を説明した。3回転+2回転の安全策なら、得点は上積みできた。だが、攻める方を選択した。
SPで64.76点は余りにも低い。お手付きして61.02点で11位の日本の鈴木明子と大して変りない。いくら回転不足とはいえ、減点数が不当に多い。それ以外ではキム・ヨナや浅田真央と遜色ない演技だったので70点前後が適正だったはず。安藤美姫は何を隠そうトヨタ自動車所属なのだ。
さらに安藤選手を犠牲者にするもっと大きな材料がある。
2日前に母テレーズさんが急死したジョアニー・ロシェット(24=カナダ)が、悲しみをこらえて自己ベストの71・36をマーク、3位と好発進した。リンクに出た瞬間、場内は「ゴー、ジョアニー!」の声援に包まれ、父ノーマンドさんは泣きだした。ロシェットは冒頭の3回転−2回転の連続ジャンプを決め、タンゴのリズムに乗って舞い、観客の手拍子を誘う。大きなミスなく演じ終わると、涙があふれ、採点を待つ間に「ママ」とつぶやいた。
このままではフリーでいくら安藤選手が見事な演技をしてもメダルを取れない可能性がある。地元カナダの“悲劇のヒロイン”ジョアニー・ロシェットを依怙贔屓しても誰も文句言えない環境が整っている。日本のマスメディアでは既に浅田真央vs.キム・ヨナ対決に集中し、安藤美姫はもはや存在しないも同然扱いされている。
トヨタバッシングと“悲劇のヒロイン”ジョアニー・ロシェットという2つの不利を背負って安藤美姫が本当の意味の悲劇のヒロインになってしまう心配が出てきた。
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