事業仕分け実は新聞社が戦々恐々としているらしい

公益法人の事業仕分け、財政支出など7基準で選考(日経)

枝野幸男行政刷新相は26日の閣議後の記者会見で、4月から実施する予算の無駄遣いを公開で洗い出す「事業仕分け」の第2弾で、対象とする公益法人を選ぶ際の7つの基準を明らかにした。
 具体的には(1)2007年度に国・独立行政法人から1000万円以上の公費支出を受けた(2)資格試験の実施などで法令による権限の付与を受けている(3)収入に占める行政からの支出が5割以上(4)天下りを受け入れている(5)正味財産が10億円超(6)国だけでなく地方自治体から支出を受けている(7)国から支出を受けた事業を外部に再委託している――の7つ。

とのこと。
新聞記者と雑談していたら、実は事業仕分けは当の公益法人のみならず新聞社にとっても死活問題なのだという。公益法人が仕分けされれば安定した部数と広告源を失い、ますます困った状況になるからだ。
こういう法人は確実に大手各紙を購読してくれる。しかも、もちろん1法人1部なんてケチな話じゃない。役員1人ずつ各紙が配られ、さらに各部屋にも配られるから1法人廃止されただけでも相当な部数減になる。
公益法人は26000ぐらいあるそうだから、もし全部廃止されれば各紙30万程度失うことになる。まあ、30万なんて大したことないように一見思えるけれど、彼らは完璧な安定購読者であり、販促費も必要ない。つまり、販促員が必要ないし、石鹸、洗剤、その他の諸経費も必要ない。「3か月だけ」という面倒くさいお願いする必要もないのだ。そう考えると見た目の数字以上に重要だ。
何しろ発行部数は読売新聞1000万部ギリギリ、朝日新聞は800万ギリギリで“固定”されているようだ。もちろん、ネットが発達したこの10数年で実売数が固定されているわけなどあるはずもなく、言っている方も言われる方もただ信じているフリしているだけなのだけど、産経新聞は耐え切れなくなって、“固定部数”を放棄したようだ。
実売数など実は当の新聞社ですら掌握していない。販売店が正直申告するわけもないし、巷間では大体マイナス200万部以上ぐらいなのだろう。しかも、その差は今後も広がるばかり。この無駄な差は言わば不良債権ならぬ不良部数として最近ますます新聞経営を苦しめているらしい。だからこそ公益法人は有難い購読者なのだ。
公益法人に限らず、各種役所、図書館など公共施設を全部合わせたら、そのシェアは相当なものになるだろう。新聞社の本当のコアな読者はこうした役所並びにその天下り先の各種の公益法人なのだ。間違っても「ネットが発達したからもう要りません」なんて言わない有難い読者なのだ。民間会社なら不景気で各紙全部まとめ買いしてくれるのは大手に限られている。しかも、それでも経費削減の対象になる。
部数ならまだ大したことはない。本当に困るのは広告。彼らは安定した購読者であると同時に安定した有難い広告主なのだ。横着な民間会社のように「値引きしろ」なんて失礼なこと言わない。高い広告費を喜んで払ってくれる。新聞社は公益法人に足を向けて寝られないのだ。
ということは無駄な公共事業でハコモノ作りまくって一番美味しかったのは新聞社ということになる。ハコモノ一つできれば確実に安定部数が確保できるのだから。
しかし、この状況って90年代の一連の金融機関破綻と凄く良く似ている。事業仕分けが本格化した途端、それが引き金になって新聞社版リーマンショックが起きる悪寒がする。
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