日本、19年連続対外純資産世界一と失われた20年

09年末対外純資産は過去最高、円安と邦銀の外債投資増で+18.1%と2年ぶり増=財務省

[東京 25日 ロイター] 財務省が25日公表した、日本政府や国内の企業・個人が海外に持つ資産(対外資産)から負債を引いた「対外純資産」の残高は、2009年末時点で前年比18.1%増の266兆2230億円となり、2年ぶりに増加して過去最高水準を記録した。
 邦銀による米ドルやユーロ建て債券投資の増加と海外勢による日本国債保有減などに加え、為替が対ドル・ユーロで円安に振れたことが純資産増加の原因。国際通貨基金IMF)の資料を基に比較すると、日本は19年連続で世界最大の債権国となったもよう。
09年末の対外資産は前年比6.9%増の554兆8260億円、対外負債は同1.7%減の288兆6030億円だった。
08年末の純資産は急激な円高で減少していたが、09年末実績は07年末実績(250兆2210億円)を上回り過去最高となった。
09年の純資産増加額40兆7000億円のうち、16兆2000億円が取引要因、15兆8000億円が円安による為替要因とみられている。09年末時点での為替レートは1ドル92.13円、1ユーロ132.76円と、それぞれ08年末の90.28円、125.67円と比べ円安水準だった。
外資産の内訳は債権や株式など証券投資が261兆9890億円、子会社への出資など直接投資が68兆2100億円。対外負債の内訳は証券投資141兆8960億円、直接投資18兆4250億円など。

純資産増加額は円安要因がほぼ4割だけれど、もう一つ大きな要因は日本企業の海外法人の利益が国内本社に還流せずにそのまま海外法人に内部留保されているのが大きいのかも。海外法人の当該国は日本より法人税が安く、国内に還流すれば、より高い法人税を徴収される。しかも、今はバブル期以前と違って日本国内より海外の方に資金需要が高いのでそのまんま海外to海外で資金を回した方が合理的なわけだ。ジャパン・パッシングとよく言われるけれど、一番ジャパン・パッシングしているのは何を隠そう日本企業だということらしい。
とすると、この19年連続世界一の債権大国というのは、日本の失われた20年と軌を一にしていることになり、まことに分かりやすい。一言で言えば産業の空洞化をとっくに超えてマネーの空洞化が起きたのがこの20年ということになる。
そして、この状況は当分続きそうだということ。
かと言って、日本の法人税を海外平均並みに下げれば、海外法人の利益が国内に還流するかと言えば、そうはならんだろうなあ。どっちみち日本国内ではそう対して資金の使い道が少ないことには変わりないのだから。多分、法人税を下げれば、それによる増益でまた海外に資金を移転して結局内需は増えず何もなりませんでした、というオチになるような気がする。その結果、また景気回復しても歳入は伸びず、景気が落ち込めば歳入不足で、国債の発行増加という地獄のループが待ち構えているようにしか想像できない。
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