日本人は「失われた20年」の間も頑張っていた



植草一秀の『知られざる真実』:菅政権の超緊縮財政政策が日本経済を破壊するを読むと、

1992年から2010年まで、日本経済はゼロ成長を続けた。この間、米国経済は2.24倍の規模に拡大、中国経済の規模は12.08倍に拡大した。日本は世界経済の成長から完全に取り残されて、停滞の20年を経験したことになる。

とある。米国と中国とだけで比較して見ると、確かに完全に取り残された感があるけれど、これは名目GDPベースだし、米国も中国も、その間に人口も増えているので、そこまでオーバーに取り残されていない。
1992年と2010年(予想)で1人当たりの実質GDPの推移を比較すると、日本は12.4%増、アメリカは33.4%増、中国393.4%増だ。それほど大した開きではない。中国が12倍と言っても、一人当たり実質ベースに直せば4倍だ。(参照)
しかも、これは各国の通貨ベース。1992年の円ドル為替レートはだいたいで1ドル=126円くらいだったから今年の為替レートを1ドル=90円とすると、円の価値は対ドルで40%高くなっている。ということは、ドルベースでは約50%伸びていることになり、むしろアメリカを上回っていることになる。少なくとも単純な名目ベースで比較した場合と比べると、まだまだ地力はあるのだと了解できる。

しかも、この間、日本は高齢化が進んだ。労働者人口の60歳以上が占める割合は90年の11.5%から2010年の18.2%に増えていて、一人当たりのマンパワーの質は弱化していると見ていい。これだけのハンディがあることを考慮すれば、「停滞の20年」とするのは少し自虐的印象は免れない。
92年の国債残高は178兆円、今は720兆円という負の遺産も増えたが、一方では対外純資産は92年の64兆円から今は266兆円に増えている。こうした数字を見ると、日本は依然経済大国でちっとも沈没していない。国民はずっと頑張り続けていたのだ。問題は国富が全然うまく活用されていないということじゃないか。やっぱり消費税増税法人税減税ではなく、無駄な歳出を削り、有益な歳出を増やすことが最優先なのだ。そうでなければ頑張り続けている国民は報われないし、報われないまま本当の意味の「第2の終戦」になってしまう。
Clickで救えるblogがある⇒人気blogランキングにほんブログ村 経済ブログへ