結局日本がグローバル経済競争の勝ち組じゃないのか

 [ニューヨーク 11日 ロイター] 

12日の米国債市場では、米連邦準備制度理事会FRB)が今週保証した一段のハト派的姿勢が大きな材料になるとみられる。
 FRBは10日、これまでの緩和措置で購入した住宅ローン担保証券MBS)などが満期を迎えた場合、償還資金で米国債を買い取り、保有資産残高を維持するという追加緩和を表明。この効果で、今週は米国債価格は上昇している。
 ストーン・マッカーシー・リサーチ・アソシエーツ(ニュージャージー州プリンストン)のアナリスト、ジョン・キャナバン氏は、「FRBの決定の余波が、債券価格を動かす大きな要素。もし利食い売りが12日に出たとしても、FRBによる第1弾の実際の国債買い取りを控え、売りの規模は限定的だろう」としている。
 FRBの11日の発表によると、8月17日を皮切りに9月13日まで計9度のオペを行い、180億ドルの国債を購入すると表明した。買い取るのは2─10年債。一部にインフレ連動債(TIPS)も含まれる。
 11日に発表された6月の米貿易統計では、輸出が前月比1.3%減少、輸入は同3%増加した。ドイチェ・バンク・セキュリティーズの米国担当主任エコノミスト、ジョゼフ・ラボーニャ氏は「建設や在庫、輸出の減少で、4─6月期の実質GDP(国内総生産)は、速報値の2.4%増から1.1%増に大幅下方改定されるだろう」と話した。同氏は経済成長の減速と雇用見通しの悪化で、ゼロ金利の状態が長期化すると結論付けた。

ある人達に言わせると、日本はイノベーションが起きず、生産性が低く、利益率が低く、要するにダメダメ企業のスクツらしい。
なのになぜか為替が1ドル=90円を割っても相変わらず貿易黒字を続け、19年連続対外純資産世界一を続けている。
一方で、グーグルやアップルのようなイノベーションの塊のような勝ち組の最先鋭企業、金融工学を駆使した投資会社を次々と生み出したアメリカは相も変わらずズブズブと貿易赤字を続けている。
米貿易赤字44・8%増 10年上半期、対日も急増(47NEWS)

今年は景気が改善し貿易活動も活発化したため、輸出額とともに輸入額も増え、赤字幅は再び拡大傾向にある。輸出主導で景気の底上げを目指すオバマ大統領の戦略に揺らぎが出ていることを示した。

本来ならIT企業が集まるシリコンバレーを抱えるカリフォルニア州など税収が増えてウハウハの筈なのに逆に財政難に陥って久しい。なんでやねん?
オバマ政権はとうとう音を上げて輸出倍増計画、自国商品を買おうという、反グローバル的な保護貿易主義に傾き始めている。
最高値も視野、15年ぶり円高−長期化懸念に3つの根拠(ブルームバーグ)

市場では、米国が緩やかなドル安を歓迎しているとの思惑も根強い。オバマ大統領は1月の一般教書演説で、今後5年間で輸出を2倍に増やし200万人の雇用を支えるとの目標を掲げた。最大の対米貿易黒字を稼ぐ中国には、これまで人民元相場の大幅な上昇を求めてきた。
三井住友銀行の宇野大介チーフストラテジストは、米当局は「11月の中間選挙を控え、輸出に追い風となるドル安を促している」と読む。79円75銭の戦後最安値も視野に入っているとみている。
ドル安は米国のデフレ懸念を和らげる面もある。輸入物価や米企業の海外収益を押し上げ、インフレ期待の過度な低下を防ぐ効果も見込まれるからだ。米セントルイス連銀のブラード総裁は7月末の調査報告書で、米国が日本型のデフレに陥る懸念に言及した。

ドル安政策と言うのは結局、背に腹をかえられない自国の切り売りと同じことだ。
全く話が逆だろう。
グローバル・コンペティションを国単位で比べれば、その尺度は結局貿易収支と自国通貨の価値ぐらいしかない。
日本はこの二つの点で先進国で随一の勝ち組、アメリカは圧倒的に涙目の負け組。オバマの輸出倍増計画は事実上のアメリカのグローバル競争での敗北宣言だ。
なぜこうなっちゃったのか。結局IT企業は基本的に中抜き企業で既存企業の人員削減、設備削減というサービスで儲けているから国のトータルの儲けには全然貢献しない。無駄がなくなるが人も無駄扱いするので、雇用促進には何の役にも立たないどころか、却って雇用を奪い取る。ただでさえ新興国の勃興で雇用が奪われているのに、そのうえITでも雇用を奪われてしまう。
しかし、アメリカが今更輸出倍増計画などして日本や中国、インドに勝てるのか。無理だろう。
その点、日本の“ヘタレ企業”はへこたれない。中国やインドの台頭にもちゃっかり便乗して地道に稼ぎ、アメリカ離れしてやっている。
なんでこんなに日本はしぶといのか。結局、日本人はなんだかんだ言っても65年前の終戦の詔勅(玉音放送)を忠実に守っているのではないか。

堪ヘ難キヲ堪ヘ忍ヒ難キヲ忍ヒ以テ萬世ノ爲ニ太平ヲ開カムト欲ス

案外、これが日本人の潜在意識の中で今でも生きている。日本人にとって経済は利益を上げることではなく平和達成の手段だから多少不満があってもへこたれないのだ。最近、自殺者が増えてほころびは出始めているのだが、それでも高止まりしてはいても増え続けてはいない。これが日本の強さの秘密で、いくらガラパゴス化と揶揄されても平気なのだ。
円高で日本滅亡? って冗談だろう。自国通貨が高くなって滅んだ国など世界の歴史上見当たらない。実際、日本は歴史的に見ても1ドル=360円の固定相場が崩れた40年近く前も、プラザ合意で円が急騰した25年前も、そのたびに「日本が滅ぶ」と繰り返し言われてきたが今をもってちっとも滅びる気配がない。耐える力が凄いから、こんなことでへこたれるわけない。
国が滅ぶのは自国通貨が投げ売りされてハイパーインフレが起きた時だ。デフレでいる限り日本は盤石だ。デフレ脱却なんぞは亡国の戯言だ。日銀は馬鹿な世論に煽られて決して追加的量的緩和のような愚策を行うべきではない。どうせ遅かれ早かれ資源高、エネルギー高、アジア新興国の賃金上昇で否が応でも輸入物価は上がるのだから。
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