日本企業の海外移転は民間による円売り介入と同じ

菅直人首相は、製造業などの海外流出を防ぐ具体的なプログラムづくりを直嶋正行経済産業相に指示したそうだけれど、一方では円高には断固対処するそうだ。これって論理的には矛盾している。
日本企業が海外に工場を新設するということは、手持ちの円資金を外貨に替え、海外の土地や工場設備を買うということだ。言わば民間による円売り介入をしているのと実質同じことだ。
よく企業が海外移転すると国内は産業空洞化すると言われるが、これは二律背反の側面があり、もし、海外移転を阻止するために補助金をばらまいたら、こうした民間による円売り介入作用がなくなり、ますます円高になって却って国内企業の首を絞める結果になりかねない。
言い換えれば、皮肉にも補助金で円買い介入しているのと同じことになってしまう。完全に矛盾した行為だ。なんでもそうだが、「緊急対策」と称して無理に企業を国内にとどめれば必ずどこかに皺寄せが来る。
その結果、ますます円高になるばかりか、ばらまいた補助金の分、ますます財政悪化するという悪循環になる。考えれば、日本はこの20年、いつも何か「緊急事態」が起きるたびに押っ取り刀で場当たり的に対症療法的なことばかりしていたために、いつの間にか国債残高が900兆円を超えてしまった。
企業はもっと冷静で、円高を好機ととらえて海外企業をM&Aしている。これだって民間による円売り介入と同じだ。むしろ、円高だからこそ積極的に海外進出するべきなのだ。
一体、いつになったら懲りるのだろう。
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