北朝鮮にも三分の道理〜国連の北方限界線は不自然


【北朝鮮砲撃】延坪島で50発以上着弾 民家にも 兵士2人死亡、住民など20人負傷(産経)

韓国合同参謀本部によると、23日午後2時35分ごろ、韓国が海の軍事境界線と定める北方限界線(NLL)に近い韓国西方沖の延坪(ヨンピョン)島と周辺の黄海水域に、北朝鮮側から砲撃があり、50発以上が着弾、多数の民家が炎上した。韓国軍が応戦し南北双方で交戦となった。交戦で韓国軍兵士2人が死亡、兵士や住民20人が重軽傷を負った。韓国側は、警戒水準を最高度に引き上げ、北朝鮮に対する警戒を強めている。
現場付近の海域ではこの日午前、韓国軍が通常の射撃訓練を行っていた。韓国軍などの情報では、北朝鮮からの砲撃は1時間あまりにわたり断続的に加えられた。金泰栄国防相は、北朝鮮の砲撃は50発余りで、韓国軍の応戦は約80発だったとしている。韓国側は戦闘機を緊急出動させ、警戒水準を最高度に引き上げた。(略)
NLL付近の海域では南北間の銃撃戦がこれまでにも起きているが、民間人が被害を受けた陸地への砲撃は1953年の朝鮮戦争休戦以降来初めて。北朝鮮は今年1月と8月にもNLL付近の海域に砲撃を加えていた。

住民を巻き添えにする砲撃は度し難いのだけれど、NLLそのものは極めて不自然であることは確か。
北方限界線(NLL)

朝鮮戦争休戦後の1953年8月、国連軍が設定した韓国と北朝鮮海上軍事境界線北朝鮮は有効性を認めておらず、99年9月、NLLの南側に独自の「海上軍事境界線」を一方的に設定している。同年6月と2002年6月、09年11月に黄海の周辺海域で南北艦艇による銃撃戦が発生。10年3月には韓国哨戒艦「天安」の爆発・沈没事件が起き、韓国軍民合同調査団は北朝鮮の魚雷攻撃が原因と断定した。(時事)

当時、一体どういう経緯があったのか知らないが、少なくとも地形的に見れば、かなり北朝鮮にとっては許し難い不自然な北方限界線であることは理解できる。
今度発砲を受けた延坪(ヨンピョン)島はまだしも、更に北にある白翎島(ペンニョンド)などは北朝鮮から見れば目の上のたんこぶのように見えても仕方がないだろう。これは日本から見た北方領土と同じようなもので、根室半島のオマケにしか見えない歯舞・色丹をロシアが占拠しているのと同じような不自然な配置だ。
このような島が韓国領だからと言っても、北方限界線北朝鮮が主張する海上軍事境界線とを比較すれば、後者の方が自然で客観的のように見える。北朝鮮海上軍事境界線は陸地の38度線をほぼ延長したものに近い。
この2つの境界線の間で頻繁に軍事衝突が起きるのは何も北朝鮮の好戦性だけでは片づけられない気がする。北朝鮮の主張は全て無体という条件反射に慣れてしまって、今回も無理難題に基づいた攻撃のように見えるが、そう単純ではないということだ。
一連の脅迫による瀬戸際外交とは別に最近の中国の尖閣諸島への強硬姿勢やロシアのメドベージェフ大統領による北方領土視察に呼応したような動きにも見える。ならば、中国もロシアも今回の事件に関して北朝鮮に何も言えないことになり、国連安保理に持ち込んでも結果は自ずと知れているだろう。
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