菅首相は鈍いから駄目と言えるのか

NHKオンライン:自民 政府の危機管理追及へ

北朝鮮による韓国のヨンピョン島への砲撃を受けて、自民党は、緊急の外交・国防合同会議を開き、政府の対応は遅く、危機管理の態勢に問題があるなどとして、今後の国会審議で追及していくことを確認しました。
会議には、島田和久内閣参事官ら政府の担当者が出席し、23日午後3時20分に伊藤内閣危機管理監の判断で総理大臣官邸の危機管理センターに「情報連絡室」を設置し、その後、秘書官を通じて菅総理大臣に「砲撃の一報」を連絡したことや、北澤防衛大臣には午後3時20分すぎに、岡崎国家公安委員長には午後4時ごろに、それぞれ秘書官を通じて連絡したことなどを説明しました。これに対して、出席者からは「砲撃開始から1時間以上たったあとに、菅総理大臣に第一報が入るのは遅すぎる」という批判や、「関係閣僚による会合は、砲撃開始から6時間以上たっており、これでは危機に対応できない」などという指摘が相次ぎました。そして、政府の危機管理の態勢には問題があるなどとして、今後の国会審議を通じて追及していくことを確認しました。また、公明党も「北朝鮮砲撃事件対策本部」の会合を開き、政府に対して情報収集を徹底するよう求めていくことを決めました。

つまり、菅直人首相の指示で危機管理センターに「情報連絡室」を設置したのではなく、「情報連絡室」から菅首相らに連絡が伝わったことになる。
とすると、
【北朝鮮砲撃】首相「報道で知った」鈍い初動、危機管理薄く(産経)

首相は午後5時10分、官邸で記者団に対し、第一報が報道だったことをためらいなく明らかにした。
今月1日にロシアのメドベージェフ大統領が北方領土国後島を訪問した際も、政府は「報道で知った」を連発。情報収集態勢の不備を批判されていた。

のように菅首相の鈍さを非難できることになるのか。
たまたま休日だったから仕方なかったという説明もあったが、今時携帯があるから言い訳にもならない。菅首相が知ったのは午後3時30分ぐらいらしく、最初に重要かどうか判断をするのは伊藤哲朗内閣危機管理監の権限ということになる。
伊藤内閣危機管理監というのは何者かと言えば、元警視総監。要は元警察官僚だ。最初に官僚が判断し、官僚の判断の元に首相が動くというパターンなのだ。ワンクッション置かれていて、初報段階で判断するのは最初から菅首相ではなく、官僚出身者なのだ。
では、そのことが「反応が鈍い」「やっぱり官僚主導」ということになるのか。それは無茶苦茶な論理だ。官邸には様々な情報が入るので、その全てにいちいち首相の指示を仰いでいればパンクしてしまう。そうならないために伊藤内閣危機管理監のような人が情報フィルターとして働いているわけで、そのこと自体何ら問題じゃない。
むしろ問題は、首相の指示がなくても現場が即応できる体制になっているかどうかだろう。人体で言えば、脊髄反射に相当する反応だ。手が熱い物に触れれば、人体は脳に判断を仰ぐことなく脊髄反射で手を引く。こんなことでいちいち脳に判断を仰げば大火傷しかねない。
政治も同じことで、首相がすぐさま判断して指示することが首相の資質ではない。緊急事態には脊髄反射して手を引っ込める体制が確立しているかが問題なのだ。よく言われる自衛隊の現場判断をどうするかという法整備の方がよっぽど重大だ。
自民党がこんなことにまで足を引っ張り、政局の材料にしようとしていることの方がよほど危機管理意識に欠ける所業だろう。国際問題も何もかも国内問題を通り越してあっという間に国会内問題に矮小化されて消尽される素早さは驚異的だ。
Clickで救えるblogがある⇒にほんブログ村 ニュースブログへ