参院改革案は既得権温存のインチキ

1票の格差是正目的とした参院選挙制度改革 西岡参院議長、9比例ブロック案を提示(FNN)

1票の格差是正を目的とした参議院選挙制度改革をめぐって、西岡参議院議長は22日、現在の選挙区を廃止して、全国を地域ブロックによる9つの比例区に分けて選挙を行う案を各会派に提示した。
西岡議長の試案は、参議院の現在の都道府県ごとの選挙区を廃止し、全国を9つのブロックに分けた比例区のみとし、非拘束名簿方式で、政党名、候補者名のいずれでも投票できるようにするもの。
定数については、現在の242を基本にしたうえで、削減するかどうか、今後検討を行うとしているが、西岡議長は記者会見で、削減に慎重な姿勢を示した。
西岡議長は「1票の格差の問題について、定数を減らすことよりも重要なことであると。これを両方いっぺんにやるということは、至難のことであろうというふうに思っておりまして」と述べた。
1票の格差をめぐっては、最大で5倍の格差が出ている現状を違憲状態とする判決が相次いでいるが、今回の案では、およそ1.15倍に縮小するとしており、西岡議長は、この案をたたき台に、2011年の通常国会での法改正を目指すとしている。

もはや選挙区をいじって一票の格差を是正するのは物理的に不可能。そこで出たのが、事実上の大選挙区制だ。憲法に規定がある以上、憲法の規定を外すような改正もできないわけだから、選挙区そのものを廃止するしか方法がないのは理解できる。けれど、この部分は理解不能

西岡議長は「1票の格差の問題について、定数を減らすことよりも重要なことであると。これを両方いっぺんにやるということは、至難のことであろうというふうに思っておりまして」と述べた。

いっぺんにやれる。全部比例なのだから単純に定数を減らせばいいだけだ。こんな簡単なことはない。至難でも何でもない。
なぜ、それが至難のわざかと言えば、議員の既得権しかない。9つの地域ブロックに分ければ、人口の少ないブロックは定数減、多いブロックは定数増になり、人口の少ないブロックの現在の議員は困るように見えるが、実は困らない。
西岡議長の参院選・全国9ブロック案の詳細(iza!)

北海道=12議席▽東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)=18議席▽北関東信越(茨城、栃木、群馬、新潟、長野)=22議席南関東(埼玉、千葉、神奈川、山梨)=44議席▽東京=24議席▽中部(富山、石川、岐阜、静岡、愛知、三重)=32議席▽関西(福井、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)=40議席▽中国・四国(鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知)=22議席▽九州・沖縄(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)=28議席

これはトータルなので半数改選ベースだと半分になる。
現在の定数は半数改選ベースで選挙区73人、比例48人。
選挙区制(定数73人)

定数 区数 選挙区
5人 1選挙区 東京都
3人 5選挙区 埼玉県、千葉県、神奈川県、愛知県、大阪府
2人 12選挙区 北海道、宮城県福島県茨城県新潟県、長野県、岐阜県静岡県京都府兵庫県広島県、福岡県
1人 29選挙区 青森県岩手県秋田県山形県、栃木県、群馬県富山県、石川県、福井県山梨県三重県滋賀県奈良県和歌山県鳥取県島根県岡山県山口県徳島県香川県愛媛県高知県佐賀県長崎県熊本県大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県

例えば、一票の重みが一番重い鳥取県がある中国・四国ブロックの定数は11人。現在の選挙区総定数は10なので、現在の選挙区議員は“当選圏内”だ。他の人口の少ないブロックだって同じだ。北海道は現在の選挙区定数2人から6人に、東北は8人が9人にと増えてしまう。
後は比例分は全国区だから全国区議員同士で立候補ブロックを調整して割り振れば“既得権”はものの見事に全員守られる。
一票の重さが一番軽い千葉県を含む南関東ブロックは定数は22人。現在の選挙区総定数10人から大幅に増えるので、全国区組を多数収容できるのだ。
要するに、形が変わるだけで中身(議員既得権)は変わらないのだ。これが「至難のわざ」の内実だ。
元々民主党参院定数を40程度削減を目指すとしていた。半数改選では20人削減だ。
これを今回の試案に加味すると、
北海道=10議席▽東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)=14議席▽北関東信越(茨城、栃木、群馬、新潟、長野)=18議席南関東(埼玉、千葉、神奈川、山梨)=36議席▽東京=20議席▽中部(富山、石川、岐阜、静岡、愛知、三重)=26議席▽関西(福井、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)=32議席▽中国・四国(鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知)=18議席▽九州・沖縄(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)=22議席
程度となる。そうすると、選挙区議員もうかうかできなくなるブロックも出て来る。だから「至難」なのだ。
Clickで救えるblogがある⇒にほんブログ村 ニュースブログへ