水の放射能加えれば既にチェルノブイリ並み?

東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所の事故・トラブルに対するINES(国際原子力・放射線事象評価尺度)の適用について(原子力安全・保安院)

福島第一原子力発電所の原子炉から大気中への放射性物質の総放出量をまとめたところ、表に示すとおり、INES評価のレベル7に相当する値となっています。

37万テラベクレル〜63万テラベクレル

INESレベル7は、INESの評価の中で最も重い評価ですが、過去同じ評価となったチェルノブイリ発電所事故における環境への放射性物質放出量と比べると、現時点では約1割前後と見込まれています。

1割前後なのになぜ同じレベル7なのか。
ところで、発表された数字は、

大気中への放射性物質の総放出量

なのであって、福島第一原発に特徴的な水による直接的な環境への流出は無視されていることだ。実際、電話で問い合わせてもそう言っていた。
チェルノブイリ原発の場合、一気にドカーンと吹っ飛んだから、限りなく、
大気中への放射性物質の総放出量≒全体の総放出量
と見なしていいだろう。
あそこは大平原の中にあり、当然海はない。チェルノブイリでも放水は行われているが、水は瞬間的に蒸発しているから大気に放出されたのと同じだろうし、周囲にばらまかれた放射性物質だっていったん大気中に放出されたと見なせる。
唯一の違いは、チェルノブイリでは注水が行われていないこと。注水も何も、そもそもチェルノブイリには最初から格納容器もなかったし、一気に原子炉が吹っ飛んだのだから、炉内注水しようがない。
だから、福島第一原発の場合、チェルノブイリと同じ尺度「大気中への放射性物質の総放出量」で測っても片手落ちだと思われる。
そこで、
東日本大震災:福島第1原発事故 トレンチに4万倍汚染水 地下水からもヨウ素(毎日)

東京電力は31日、福島第1原発2号機タービン建屋外の「トレンチ」と呼ばれる立て坑内の汚染水から、1立方センチ当たり1166万ベクレルの放射性物質が検出されたと発表した。運転中の原子炉内の水の約4万倍に当たる高濃度汚染水が建屋外に漏れていることになる。
内訳はヨウ素131が690万ベクレル、セシウム134が200万ベクレルなど。南放水口(1〜4号機用)近くでは海水から高濃度の放射性物質が検出されており、東電は「トレンチの汚染水との関連性は否定できない」としている。
1〜6号機のタービン建屋脇の地下水(地下約15メートルから採取)の分析結果も初めて公表。最高は1号機で、ヨウ素131が1立方センチ当たり430ベクレルと、運転中の原子炉内並み。それ以外の地下水からも放射能は低いが核燃料由来とみられる放射性物質が見つかった。

セシウムの種類に違いがあるので、今回の発表の換算値を適用できないので、一応ヨウ素換算で1立方センチ当たり1166万ベクレルらしい。
当初タービン建屋のトレンチにたまった汚染水は6万トンと推定されていた。他にも汚染水は貯まっていたが面倒なのでトレンチのみに限定すると、
1166万ベクレル×6万トン(=600億立方センチ)=69京9600兆ベクレル
1テラ=1兆なので、単位を合わせると、69万9600テラベクレルになってしまう。
しかもこれ、貯まっていた汚染水なので、半減期が8日のヨウ素は初期に漏れ出た部分はかなり減っていると思われるので実際に放出されたベクレルはもっと高いだろう。しかも、ヨウ素にしてもセシウムにしても揮発性の高い放射性物質なので汚染水から既に揮発しているものもかなりあったはずだ。加えて、揮発性の小さい放射性物質は今回の発表では計算外だが、汚染水の場合は無視できない筈。
そうすると、発表のように37万テラベクレル〜63万テラベクレル(なぜか平均すると50万テラレクベルと切りの良い数字なのだけれど)に加えてその倍くらいは建屋付近に放出されたと見ていいんじゃないか。
とすると、大雑把に大気と陸上にとどまった水を合わせて150万テラベクレルくらいは既に放出済みと思うべきだろう。
実際にはつい最近まで海洋にダダ漏れ状態だった(今だって別の個所でダダ漏れかもしれない)ので、既に海洋に流されたものを含めると、もっと多くなるだろう。例の「ピット」からだだ漏れ状態だったのはあくまで見た目のダダ漏れで、その後、水ガラスで止まったと言っても「見た目」ベースで止まったに過ぎない。とすると海洋に流れた物を含めれば200万テラベクレルは下らないだろう。
これからも現在進行形で漏れているからレベル7というカテゴリーだけでなく放出量ベースでもどんどんチェルノブイリの数字に近づいていると思われる。1割だからチェルノブイリとは違うというのはどんどん説得力がなくなってくるだろう。
トレンチは環境に放出されたわけでないのでカウントすべきじゃないという向きがあるかもしれないが、現実にその付近で作業員が仕事しているんだからやっぱり「環境」だろう。
ただ、海水の場合、事実上無限の包容力があるから海水に放出された物は「ただちに大気と同じレベルで評価すべきでない」という「ただちに」ベースでチェルノブイリ並みとはただちに言えない、という屁理屈もただちに成り立たないとはただちに言えないのだけれど。
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