復興しないという選択肢

(参照)
復興構想会議、財源に疑問符(ZAKZAK)

被災地の復旧・復興には総額20兆円とも言われる財源が必要となる。その財源をいかにすれば確保できるか、を論議するのがミッションである。

まず、主な東日本大震災の震災地の1970年と震災直前の今年3月1日(一部2月1日)人口の対比をしてみる。
宮古市79,805→58,917(▼26.2%)
山田町24,193→18,634(▼23.0%)
大槌町20,489→15,239(▼25.6%)
釜石市72,923→39,119(▼46.4%)
大船渡市48,816→40,643(▼16.7%)
陸前高田市30,308→23,164(▼23.6%)
気仙沼市87,914→73,279(▼16.6%)
南三陸町22,943→17,382(▼24.2%)
石巻市177,597→160,336(▼9.7%)
女川町17,681→9,965(▼43.6%)
東松島市32,192→42,859(△33.1%)
塩竈市58,772→56,325(▼4.2%)

例に挙げた市町の中で人口が増えているのは仙台市の衛星都市の東松山市だけ。塩竈市ですら微減している。後はこの40年間で軒並み10%〜45%減っている。今現在は多数の犠牲者がまだカウントされていないから人口減は更に大きくなっている筈だ。
問題は一部の都市を除いて流行の「元に戻す復旧ではなく復興」というキャッチーなスローガンにどれほどの実質的意義があるのかということ。「火事場泥棒的な“復興経済策”」をいくら行っても、復興にはならないだろう。今でこそ被災者に同情が寄せられているが、時が経てばまた忘れ去られそうな地域で、ほとんどは過疎化が進行中で今後も歯止めがかかる気配はない。ならばやるべきことは「復興」ではなく、身の丈に合わせた「復旧」だろう。
津波のために居住可能地域は実質狭まったのだから、どうしても移住という選択肢は避けられない。例えば、石巻市の一部は78センチも地盤が沈下し、大潮では海水が浸水する状態だ。政府の何とか委員会は埋め立てて元の高さに戻すなんてお気楽なこと言っている向きもあるようだが、むしろ、逆手にとって浸水した建物をそのままにして震災記念公園にした方が将来的には観光資源に役立つだろう。
仮設住宅にしても、ただ作ればいいというものじゃない。近辺の東北地方は特に空き家率が高い(↑)ことを考えれば、むしろ同じ東北圏内で引っ越しを斡旋することに注力した方がいい。農業者には故郷を捨てても埼玉県くらいの耕作放棄地が全国にはある。福島原発付近とか、特に土壌汚染が大きい飯舘村のような稲作制限地域などは今後、国や電力会社が土地を借り上げる形で太陽電池風力発電地帯に切り替え、農業者は他の耕作可能地域に移住してもらうしかないだろう。特に何もしなくても他の地域で吸収する余力はその気になれば十分ある。
ただでさえ国の借金が増え続けている中、まるで万博かオリンピックを誘致するような発想で「復興」を考えるのはもはや不可能だし、時代遅れなのだ。
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