“電力不足”というレトリック

蚊帳の外の日本株、電力不足懸念で海外株や商品の反発に追随できず(ロイター)

前週末の米ダウはギリシャ問題で上げ幅を縮小させたとはいえ反発したほか、上海総合株価指数や香港のハンセン指数などほとんどのアジア株も上昇している。
そうしたなか日経平均は小幅続落と蚊帳の外。自動車など輸出株を中心にさえない展開となっている。一つの要因は菅直人首相が浜岡原子力発電所静岡県)にある、すべての原子炉の運転を停止するよう、中部電力に要請したこと。火力発電の再開や関西電力などからの電力援助も予想されるため、「中部電力管内の夏場の電力需給に大きな影響はない」(外資証券アナリスト)とみられているが、「政府は原発に過敏になっており、ちょっとした原発の運転上の不具合でも停止要請されるかもしれない」(同)と市場は政治リスクに神経質になっている。
とはいえ、もともと企業業績の不透明感が強い中で海外勢の買いに押し上げられてきただけに、「割高感の修正ととらえればさほど下値不安はない。居心地のいい200日移動平均線付近に戻ってきたといえる」(大手証券トレーダー)との指摘もあった。

見出しだけ読むと、電力不足で日本売りという風情なのだけれど、記事全体を見ると、市場は割と冷静のようだ。
そもそも「電力不足」という言葉自体曖昧な言葉で、一般に供給サイドから語られ、供給不足=電力不足と同義だ。
もちろん、供給不足というのは需要が供給力を超過しているという前提がある。裏返せば需要が減れば供給不足でなくなるので電力不足も起きない。
実際、今回の福島第一原発の事故に伴う節電で明らかになったのは、それまでの消費電力で1、2割が大して意味もなくダダ使いされていたという現実だ。無駄な電力がダダ漏れしていたが気にしていなかっただけなのだ。
よって、浜岡原発全基を廃炉にしても、日常生活に何の影響もないだろう。「好きな時に好きなだけ電力が使えるのが一流国の条件」なんて考えている片山さつきみたいな人間を除いて。熱中症リスクのある独り暮らし高齢者がいるが、これはスマートな計画停電が行われればある程度防げる。
工場の稼働率が心配なら、今からでも遅くないから大企業の太陽電池設置の義務化を法律化すればいい。とにかくきっかけさえあれば、できることは簡単にできる。
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