第3の首都圏大規模停電が起きたらマジにヤバいかも

大石英司の代替空港:原発こそ不安定化要因?

昨夜のNHKの原発討論。唯一面白かった所は、「日本で電力供給不安を起こしてきたのは常に原発だった。全然安定性に貢献していない」という主旨の発言。言われてみればそうでしたね。何かに問題があったからと言って、火力発電が一斉に止まることはまずないけれど、原発では起こり得る。
 ただ水力発電はどうなんだろう。渇水期は発電力が落ちる分、何処かでカバーしなきゃならないですよね。火力にした所で、原油高になれば、電気料金を抑制するために、原発依存せざるを得なくなる。

まあ、そういうことなんだけれど、現実の大規模停電は原発の非線形的不安定性だけでなく、今流行の複合的連鎖による電圧崩壊がある。これまで首都圏を襲った大規模停電は、実際には大規模というほどのものでなかったが、いずれも夏季に発生しており、今夏、複合的要因で停電が起きればマジで大規模停電に襲われるかもしれない。
首都圏大規模停電

2006年8月14日の日本標準時午前7時38分頃に、旧江戸川を航行中のクレーン船がアームを架線に接触させ、これを切断。これにより東京23区東部と神奈川県横浜市川崎市の一部、千葉県浦安市市川市の一部を中心に、広い範囲で停電した。件数としては1987年7月に発生した停電の際の280万件に次ぎ、史上2番目に多く、電力量では過去4番目となったが、大手会社の多くがお盆休みとなっている時期のため、電力需要が通常より低下していたこともあり、およそ4時間42分後の12時20分には全面復旧した。このうち、神奈川県内では約10分で復旧、千葉県内でも午前8時20分ごろまでに復旧した。
停電による信号機の停止を始め、鉄道に影響が出たほか、ビルのエレベーターに人が閉じ込められる事故が相次いだ。電力の暫定復旧後も電力供給が十分でなかったことから、交通機関では冷房の出力を弱めて運行が行われた。
原因
クレーン船が接触した現場 国土画像情報(カラー空中写真)国土交通省による停電の理由は、三国屋建設が所有するクレーン船が、アームを上げたまま河川を航行し、旧江戸川上の基幹的な送電線を切断したこと。現場の位置は、東京ディズニーリゾートのそばである(外部リンクに地図がある)。本来、曳航中のアーム展開は禁止されている。
千葉県警浦安署などの調べによると、三国屋建設が所有する、アーム長33mのクレーン船(法令上は移動式クレーン)のアームを、浚渫現場に到着後すぐに作業にかかれるよう、曳航中に動かした(上げた)ため、旧江戸川上の高さ16mの位置にある27万5000ボルト(275kV)の高圧線に接触・破損した、とされる。
破損した高圧線は、千葉県船橋市にある「新京葉変電所」と東京都江東区の「江東変電所」、さらに横浜市青葉区の「荏田変電所」を結ぶ、「江東線」と呼ばれる27万5000ボルトの特別高圧送電線で、接触により本線とバックアップ用の2系統がともに遮断されてしまったため、午前7時38分から、東京都心部14区1市の約97万4000世帯、神奈川県横浜市川崎市の約22万世帯、千葉県浦安市市川市の約19万7000世帯、計約139万世帯が停電した。

1987年7月23日首都圏大停電

猛暑のため、昼休み明けで急速に電力需要が伸びていった。需要の伸びは1分当たり40万kWであったという。

電力需要の伸びに伴って無効電力も急速に伸び、電力会社では変電所に設置されている電力用コンデンサを次々と投入し無効電力の抑制を行った。

午後1時07分には電力用コンデンサの全量を投入したが、無効電力の伸びに追いつかず基幹系統の変電所の母線電圧が低下し(50万V母線で37万〜39万Vであったという)、UVR(不足電圧リレー)の動作により1987年7月23日の午後1時19分頃に、基幹系の変電所が停電となり配下の変電所が停電した。(関東中央部:豊島、京北、北東京、多摩、上尾、池上変電所・関東南西部:笹目、北相模、新秦野、新富士変電所で停電が発生)
また、基幹系変電所のリレー動作で負荷が急減したため発電機の回転速度が増加し周波数上昇が発生したため、川崎火力6号機や鹿島火力4号機と6号機の発電機OFR(周波数上昇リレー)が動作し電源が脱落した。
停電の復旧は、関東中央部は約30分で復旧したが、関東南西部は完全復旧までに3時間21分を要した。 一方、脱落した電源は、鹿島6号機は停電発生後約1時間20分、鹿島4号機は約1時間半、川崎6号機は約1時間50分で再並列した。
原因 無効電力の急増に対して電力用コンデンサの投入で対処したが、全量を投入したにもかかわらず、無効電力需要に対応できなかったため、P-V曲線上の動作点が不安定解の領域に遷移し電圧崩壊に至った事が原因。
インバータエアコンが電圧が低下しても冷房機能を落とさないように制御するため、電圧が低下した分電流が増加しさらに電圧低下を招くという悪循環があったと言われている。
通常の停電と違い、短絡・地絡などの電気事故が引き金ではない事が特徴的である。

5年前はちょうどお盆の時期でいつもより電力需要がなかったのが幸いしたらしい。
NHKの朝のニュースでは最近いつも電力需要予想が発表され、大体90%前後。まるで100%を超えない限り大丈夫と思いがちだが、実際にはそうではないだろう。普通に考えても100%に近づけば近づくほど1秒ごとに行われているという電力の需給調整能力ののりしろが小さくなるだろう。つまり融通が利きにくくなり、5年前のような突発的な単純な事故に対しても対処できなくなる脆弱性が高まるだろうことは素人にも想像できる。つまり、分かりやすくたとえれば、過積載のトラックがカーブを曲がりきれず横倒しになりますた、ということになるのだろうか。
一気に電圧崩壊が起きて1日以上停電状態が続けばどうなるのだろう。計画停電なんてものじゃない、下手したら一昔前のフランス並みの熱中症による大量死亡につながりかねない危うさがある。これをどーせ原発再稼動したい経済産業省の世論操作だろう、と高をくくっているとマジにまずいことになりかねない。

あなたは、これでも原発の再稼動に反対しますか? 

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