太陽光パネルは基本的に自家消費発電機だ

再生可能エネルギー特別措置法案が与野党協議で合意したが、恐らくどっちつかずの中途半端な法になり、ひと山過ぎれば、また太陽光パネルのブームは過ぎ去るかもしれない。
ドイツを真似たこの法案は、買い取り価格を高値に設定し、普及促進するものだが、要は見えない税金補助だ。その結果、数百万円する太陽光パネルを設置できる裕福な家庭は利益を得て、皺寄せは太陽光パネルを設置できない貧乏人に回ってくる。
他に普及方法がないのかと言えばある。大企業などの法人に設置義務を課すことだ。委細は去年書いた。
太陽電池で実質法人税を減税する方法

コストがかかるというネックをブレークスルーするには、日本は世界にはないメリットがある。企業の内部留保だ。有利子負債よりも現金が多い実質無借金の上場企業が5割に迫る勢いであるらしく、しかも海外現地法人内部留保も日本国内には還流されない資金が12兆円くらいあるらしい。
国内で投資する場がないのだから仕方がないと言えば仕方がないのだけれど、どうせなら国内でカネを使ってもらうなら、大企業の太陽電池設置の義務化をしてカネを国内で使ってもらえれば良い。例えば、東証一部上場企業全社プラス資本金1億円以上の企業には、事業所の建物の平面図ベースの面積の何割かを太陽電池でカバーする。事情によっては太陽温水器でも構わない。
事業所には工場、事務所ビルのほか、鉄道会社のプラットホーム、運送会社の配送センター、ショッピングセンターからコンビニ、ファミレスまで含める。それから電力会社の発電所も。発電所太陽電池設置すれば、送電のインフラ整っているので合理的だ。
目標としては平面図ベースの10%以上を2012年度内に、2014年度内には20%以上、2016年度内に30%以上、2018年度内に40%以上。2020年度内に50%以上として義務化する。場所によっては日照時間が短かったり、北海道のように太陽光自体が弱かったり、発電効率の悪い場合があるので、太陽電池設置義務の下請けも認める。つまり、義務付けられた企業から義務付けられていない企業で沖縄や南九州、高知など発電効率の良い場所や首都圏、大阪圏、名古屋圏などヒートアイランド現象が大きい場所にある事業所に設置を委託することを認める。
設置費用は全て法人税から控除、海外法人からの国内還流資金を使った場合も無税にしたうえで国内法人の法人税から控除する。

これだと電気料金を上げる必要もないし、企業の大量発注で、税金なしでも多数のメガソーラーが建設される。価格も安くなるだろう。しかも土地はいらないから借りる必要もない。なんでこんないいことずくめをしようとしないのか。
義務化したら定番の「企業が海外に逃げる」がまた出てきそうだが、海外のマネーが環流されるから実は内需になる。レパトリ円高になる? 一時的にはなるだろうが、世の中は既に円高になれていて、しかもレパトリは為替に基本的に中立だ。
企業は儲けようとしないから引き取り価格対象は余剰電力だけでいい。本来、太陽電池は自家消費で売るためのものじゃない。下手に売ろうとするから話がややこしくなる。
しかし、世界に前例がないという理由で誰もそうしようとしないだろう。前例主義は官僚の専売特許じゃない。マスコミも、一般国民もおしなべて前例主義を好む。
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