原発安全神話の源泉は軍事機密

NHKの「シリーズ原発危機 安全神話〜当事者が語る事故の深層〜」を見たが、まるで原発安全神話が日本固有の問題のように語られているのに違和感がある。そもそも原発には軍事機密という系譜があり、危険隠しは日本特有のものではなく、欧米先進国でもあった。
一般にメルトダウンというのはスリーマイルとチェルノブイリしか話題にならず、ソ連時代は秘密主義だから情報隠しがあったが、欧米は情報をオープンにしていた、というのが一般的な雰囲気だろう。しかし、原子力事故@wikiを見ても、

1957年10月10日 ウィンズケール火災事故 世界初の原子炉重大事故。イギリス北西部の軍事用プルトニウムを生産するウィンズケイル原子力工場(現セラフィールド)の原子炉2基の炉心で黒鉛(炭素製)減速材の過熱により火災が発生、16時間燃え続け、多量の放射性物質を外部に放出した。避難命令が出なかったため、地元住民は一生許容線量の10倍の放射線を受け、数十人がその後白血病で死亡した。現在の所白血病発生率は全国平均の3倍である。当時のマクミラン政権が極秘にしていたが、30年後に公開された。

30年後に公開ということは1987年で、ちょうどチェルノブイリ原発事故直後のことで、恐らくチェルノブイリ事故がきっかけで内部告発でもあったのだろう。

1959年7月13日 サンタスザーナ野外実験所燃料棒溶融事故 カリフォルニア州ロサンゼルス市郊外約50kmのシミバレーにあったナトリウム冷却原子炉の燃料棒が溶融した。1500-6500キュリーのヨウ素131と1300キュリーのセシウム137が環境中に放出されたとされる。1960年に閉鎖されその後解体された。1979年に学生が偶然資料を発見し公表するまで極秘であり、2011年8月現在エネルギー省のサイトに一切情報がない。

これまた学生が偶然発見した資料で明らかになったというのだから、裏返せば、まだ秘密にされている事故はもっとあるのだろう。
元々核爆弾開発が主目的だったから、ある意味商用原発でもその秘密主義の伝統は引き継がれていると考えるべきだろう。福島第一原発事故の際、日本政府が隠し、海外のメディアで情報を入手する状態が続いたが、だからと言って欧米が原子炉事故に関してオープンで客観的であると考えるのはナイーブだろう。所詮、欧米にとって日本の原発事故は基本的に他人事だし、核保有クラブのメンバー外なのだから。
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