政治ニュースは芸能ニュースを目指す

今や芸能ニュースで一番盛り上がるのは芸能のコンテンツや芸の力量よりも「くっつくかくっつかないか」「別れるか別れないか」である。言わば政策論議より政局(性局?)だ。ほとんどそれが全てのような状況だ。それを逆手にとってコンサートツアーのタイミングを見計らって意図的にくっついたり、別れたりしている芸能人だっているようだ。
政治が芸能界を真似ているのか、構造的にそのようになる運命にあるのか、政治は今やワイドショー化という生ぬるさをとうに飛び越えてベタに芸能ニュース化してしまっていて、「辞める辞めない」がメーンイッシューになっている。
ついこの間まで菅直人首相がいつ辞めるか辞めないかが最大の焦点だったが、いざ菅首相が辞めて野田佳彦内閣になってとりあえず祭りは終わり、少しは落ち着くのかと思ったら、やっぱり相変わらずだ。鉢呂吉雄経済産業相辞任の後、今は田中聡沖縄防衛局長更迭で尾を引いて、
自公一致 防衛相の問責提出へ(東京新聞)

自公両党は不適切発言で更迭された田中聡前沖縄防衛局長の監督責任沖縄県での米海兵隊員による少女暴行事件について「詳細を知らない」と国会で答弁したことを受け「閣僚としての資質に欠ける」と判断した。

と、防衛相辞めさせ祭り。
そもそも、
またまた一川防衛相… 沖縄少女暴行事件「詳細には知らない」

一川保夫防衛相は1日の参院東日本大震災復興特別委員会で、平成7年の米海兵隊員らによる少女暴行事件について問われ、「正確な中身を詳細には知ってはいない」と答弁した。

のがなぜ非難されるのか。国会で「詳細な中身」を答弁したら大変なことになる。集団強姦の詳細を今更国会答弁したらさらに非難されるのは目に見えている。見識が問われるのは質問した自民党佐藤正久議員の方だろう。けれど、非難されるのは質問者じゃないところが芸能化している証だろう。加えて、

自公両党の会談では自民党が、マルチ商法関連業者との深い関係が問題視されている山岡賢次消費者行政担当相の問責決議案の共同提案を公明党に打診。同党の白浜一良参院議員会長は会談後、党会合で「閣僚の資質問題に国会最終盤で決着を付けたい」と共同提案に応じる考えを示した。

という以前からのおまけネタもある。
なぜ人事がらみのスキャンダルが芸能ニュースの不倫報道のように政治ニュースを彩るのか。結局、人々の関心で一番面白いの「あいつはあの子とくっついた」「いや別れた」レベルだ。どこの世界でも最終的に人そのものが一番面白いネタになってしまう。政策論議が難しいのと同様、芸能でもスポーツ情報でも人事をめぐる揉め事は分かりやすくて面白い。日本シリーズよりナベツネvs.清武の方が面白い。
共通するのは両業界とも「顔」と名前が命であること。国会議員にとってテレビ中継される国会中継は彼らにとって本番なのは芸能界、スポーツ界も変わらない。いつの間にか政治家は芸能人やプロスポーツ選手のような生態になってきてしまったということぐらいだろうか。
バブル以降だろうか、政治家がやたらテレビに出るようになった。最近ではバラエティショーにも出るようになり、選挙でもないのに総理大臣までが生出演するようになった。もう、両業界の境目は完全になくなっているのだ。観る方もいつの間にか政治家を芸能人を見る目で見ている。
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