福島県の放射能環境濃縮は今年から本格化

福島県阿武隈山系などには放射性セシウムを含んだ落葉がたっぷり堆積している。これらは厳冬期はバクテリアの活動が不活発なためにほとんどはまだ里に流れていない。しかし、春の訪れとともに分解が始まり、里への浸出が始まるだろう。昨年大晦日NHK紅白歌合戦ではユーミンが「(みんなの)春よ、来い」を熱唱したが、福島県にとっては、その春が悪夢の始まりになりかねないのだ。
昨年の汚染米騒動は主に放射性物質を含んだ大気や雨が直接土壌を汚染したものだが、これからは山地に蓄積されたセシウムの移動、流出がメインになるだろう。昨年も山地からの流出もあったろうが、かなりの部分は植物の吸収や腐葉土によってため込まれている筈だ。この山地による放射能ダムからの流出は今後も続く。
単純に川や伏流水で流出するだけならまだ予測は難しくないが、山地から里に流出する水はそれほど単純ではない。山地から里への水の流出経路は、むしろ毛細血管のように張り巡らされていて人が見えない経路を辿って浸み出て来る。よってどこに浸み出て来るかは予測しづらい。
そうすると、今年セシウムをあまり含まず作付制限されてなかった田畑でも今年はびっくりするほどセシウム含有量が増えているという事態が今後予想される。井戸水なども同じだろう。
しかも、これは今年だけで終わることではなく、来年も再来年も繰り返されることだ。山地の土壌のセシウムは再び樹木に吸収されて新緑の中に入り、それが秋に落葉し、春夏にバクテリアで分解されて徐々に徐々に里に浸出する。このループが何年もの間繰り返されて環境濃縮が起きる。セシウム137の半減期は30年なので数十年かかる可能性も排除できない。
これは、岩塩や石灰岩が形成される過程と基本的に同じで、里の特定の地域でセシウム溜まりが形成されるだろう。大平原のチェルノブイリとは異なり、地形が複雑な分、ホットスポットを形成し易い。福島や郡山を抱える中通りは盆地なのでなおのことセシウムが滞留しやすい。
もちろん、全体的には年々セシウムの残量が減ることには間違いない。最終的に海洋への流出を伴った環境的半減期もあるから大部分の土地は減少傾向を辿り、平均ベースでは減るだろう。しかし、残念ながら特定の地域は新たな今年とは違ったホットスポットを多数形成し、そこでは環境濃縮が当分続くと見なければならない。
作付可能かどうかの検査は昨年以上に綿密に行わないと昨年、安全宣言後に汚染米騒ぎが起きた同様のことが再現されるだろう。大体「安全宣言」なるものは「冷温停止状態」同様、政治的用語なのだから。
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