死が共有されると自殺者は減る?

自殺者:14年連続3万人超 前年比1177人減−−11年速報値(毎日)

警察庁は10日、昨年1年間の全国の自殺者は3万513人だったとする速報値を発表した。3万人を超えたのは98年から14年連続だが、10年の3万1690人を1177人(3・7%)下回った。

3.11の悲劇があったから大方の予想は「大幅増加」だったと思う。ところが、速報値とはいえ、減少している。

東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県は400人、宮城県は483人、福島県は525人で、3県とも10年を下回っている。ただし都道府県別は自殺者の住所でなく遺体が発見された場所で計上している。
一方、自殺の実態を調査している内閣府によると、遺族の話や自殺場所などから震災が直接の原因とわかった自殺者の数は、分析を始めた6月から11月までに全国で49人という。

結局、震災も福島第一原発放射能汚染という精神不安も自殺増には結び付かなかったようだ。実は、自殺死亡の年次推移を見ると、戦時中、自殺者が減っていたことが伺える。
終戦(昭和20年、1945年)前後は統計が欠損しているが、1936年をピークに軍靴の足音が近づいて来るにつれてむしろ自殺者が減って来ている。「みんなで渡れば怖くない」じゃないけれど、国民全員がある意味「死」を共有すると、むしろ自殺者が減るのじゃないだろうか。
自殺者が増え始めるのは、むしろアプレゲールの時代、共通の価値観の崩壊過程で起きている。60年安保という言わば疑似内戦がおこり始めると再び自殺者が減少している。学生運動が廃れて再び価値観が崩壊するとまた増えている。最近の年間自殺者3万人というのも会社という終身雇用が前提の共同体の崩壊と関連しているのだろう。
人は3.11で「死」をある程度共有してしまい、そのことで自殺衝動が緩和されたのかもしれない。
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