もし福島第一原発並み事故が福井原発で起きたら

大飯原発:3、4号機の安全評価「妥当」 保安院が初判断(毎日)

経済産業省原子力安全・保安院は18日、関西電力が提出した大飯原発3、4号機(定期検査で停止中)の再稼働に必要な安全評価(ストレステスト)について、妥当とする審査書案をまとめた。今後、国際原子力機関IAEA)や内閣府原子力安全委員会の確認を経た上で、政府は再稼働の是非を判断する。しかし、東京電力福島第1原発事故の詳しい原因調査が続く中、再稼働の鍵となる地元自治体の了承が得られるかどうかは微妙で、再稼働の時期も不透明な情勢だ。

安全評価をめぐる保安院の判断は初めて。審査書案は「福島第1原発を襲った地震津波が来襲しても、福島原発事故のような状況に至らせないための対策が講じられている」と明記した。
関西電力の評価書では、大飯原発3、4号機は、関電の想定より1.8倍大きい地震の揺れ(1260ガル、ガルは加速度の単位)に見舞われても、福島原発事故のような炉心損傷に至らないと評価した。津波は、想定より4倍の11.4メートルの高さのものに見舞われても炉心損傷しないとした。また、原子炉の冷却などに必要な交流電源がすべて失われた場合でも、炉心損傷までに16日間の猶予があると評価した。
これに対し保安院は、高さ11.4メートルの津波でも原子炉への注水装置は浸水しない対策が施されている▽想定より1.8倍大きい地震動でも原子炉への注水機能は失われない▽冷却に必要な電源盤や蓄電池が津波の影響を受けない場所にある−−ことを確認。

ところで、もし日本の原発福島第一原発並みの事故が起きて一番危険なのは福井県原発だと思う。
3月11日と言わず、冬季に福井原発メルトダウンが起きたら福島第一原発事故の被害の100倍、あるいは1000倍の被害をもたらすだろう。
冬季は北西の風が優勢で、まず琵琶湖が決定的に汚染される。京都や大阪の飲料水源、工業用水源の多くが影響を受ける。セシウムは琵琶湖の湖底に沈殿するから事実上浄化するのは数十年不可能だろう。滋賀県全体が盆地なので県全体がセシウムの溜池状態になるだろう。
それにもまして酷い惨禍になりそうなのは中京地帯だろう。冬の時期、新幹線で東京と大阪を往復している人たちは誰しも経験することだが、名古屋まで晴れていたのに、関ヶ原付近を通過すると、突然天気が怪しくなり、雪に見舞われることが多い。関ヶ原を通過して米原まで抜ければ再び天気が回復する。
関ヶ原はちょうど北と南の山並みが途切れているので冬は北西の風の通り道になっているのだ。
放射性物質が福井の原発から大量に放出されれば、この風の通り道を通り抜けた後、スプレーのように濃尾平野にまき散らされることになる。
そうすると、岐阜県南部、愛知県、三重県北部、静岡県西部の日本で3番目の人口稠密地帯が今の飯館村状態かそれ以上になるだろう。
そうなると、被害は今回の福島第一原発の100倍は切らないだろう。下手すれば1000倍の世界になりかねない。
福島第一原発事故は世界に例を見ない放射性物質を撒き散らかしたが、それでも不幸中の幸いだった。放射性物質の8割以上は太平洋上に撒かれたからだ。もし、同じことが太平洋高気圧の優勢な夏の時期に起きていたら、被害は実際の10倍になっていたかもしれない。
その意味で、福井県は悪いことに最も原発立地に不向きなのだろう。10倍どころか、100倍、1000倍の世界もあり得るのだから。
福島の事故を受けて原発の発電コストが4.3円/kWh(60年稼働 稼働率85% 割引率5%)から8.9円/kWhに引き上げられたが、これは「幸運な事故」を前提にしたもので、季節調整で不運の場合を均等化して被害額100倍と織り込めば、この差額の4.6円を少し割り引いても450円/kWhが妥当だということになる。自然エネルギーよりはるかに高いコストになってしまう。
原発を再稼働するとしても、それだけの覚悟があるのかどうか。少なくとも福井県原発安楽死させた方がいいのかもしれない。「もしも」の桁が違い過ぎると思えるので。
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