日本の存在感小さい「世界自然エネルギー白書」

自然エネルギー世界白書 2011

・米国では国内の一次エネルギー生産のうち10.9%を自然エネルギーが占め(原子力発電による電力は11.3%)、2009年から5.6%増加した。
・中国では系統連系型の自然エネルギーを29GW増やし、全体で263GWに達した。この総量は2009年に比べ12%増加であった。自然エネルギーは2010年の中国国内における発電容量の26%、発電量の18%、そして最終エネルギー消費の9%を占めている。
・ドイツでは最終エネルギー消費全体の11%を自然エネルギーが占め、電気消費量の16.8%、熱生産の9.8%(主にバイオマス)、輸送燃料の5.8%に相当する。風力発電自然エネルギー発電量の36%を占め、続いてバイオマス、小水力、太陽光となっている。
・いくつかの国では、2010年度全体の電力需要における風力発電の割合が増加した。それぞれ、デンマークでは22%、ポルトガルは21%、スペインは15.4%、アイルランドでは10.1%となった。

中国は今や市場の成長を示すいくつかの指針でトップに立っている。2010年には風力タービンと太陽熱温水システムの導入量、また水力からの発電量においてトップであった。インドは風力発電の累積導入量では世界5位で、バイオガスや太陽光発電といった農村地域に適した自然エネルギー分野でも飛躍的な伸びを示している。ブラジルはサトウキビ由来の世界のエタノール生産量のうち実質的にほぼすべてを担っており、さらに水力発電バイオマス風力発電や太陽熱利用システムも導入している。また中東、北アフリカ、サハラ以南のアフリカ20カ国以上でも自然エネルギー市場は盛況である。製造における牽引役もヨーロッパから中国、インド、韓国といったアジア諸国へとシフトし、こうした国は自然エネルギーをますます推進している。このような市場や製造が地理的に分散することで、自然エネルギーはある特定の国の政策や市場の混乱に簡単には左右されないという信頼感が高まっている。

風力発電は38GW増加して合計で約198GWとなり、2009年の水準を保った。新設容量の半分以上を発展途上国新興市場が占めるのは初めてである。これは、世界市場の半分を占める中国によるところが大きい。

2010年の太陽光発電の世界市場は、前年の2倍以上の規模へ成長するという驚くべき一年を経験した。2009年には7.3GWを下回るほどであったが、2010年には世界で17GW増加したと推定され、合計で40GWとなった。これは5年前の容量の7倍を超える。EUが世界市場を独占しており、これはイタリアやドイツによる貢献が大きい。とくにドイツでは、2010年の新規導入量が2009年の世界全体の新規導入量を上回った。大規模太陽光発電の設置数は増加傾向にあり5000件を超え、世界導入量の約25%を占めた。太陽電池の製造はアジアへのシフトが進み、製造企業の上位15社のうち10社がアジアに拠点を置いている。

2010年の新規導入量は25GWthにのぼると推定され、合計で約185GWthになった(プール用の非ガラス管式集熱器を除く)。太陽熱温水システムの世界市場は引き続き中国が独占した。2010年のEU市場は新規参入があったにも関わらず、経済の停滞により縮小した。一位の中国には大きく差をつけられたものの、市場規模は変わらず二位であった。中国での新設は太陽熱温水器のみであったが、EUでは温水器と暖房を組み合わせた比較的大きめのシステムを導入する傾向がある。工業プロセスでの太陽熱の導入が、2009年から2010年の間に中国、EU、米国、その他の地域で行われた。

バイオマスが発電および熱利用に占める割合は増加しており、自然エネルギーによる熱生産の大半がバイオマスによる。2010年末時点で稼働していたバイオマス発電容量は62GWであった。バイオマス熱市場はEUを中心に米国、中国、インド、その他の地域で着々と拡大している。トレンドとしては、固形バイオマスペレット(発電および熱)消費や、熱電併給システム(CHP)や地域熱供給システムにおけるバイオマス利用の増加がある。家庭用バイオガスプラントの数では中国が世界をリードし、ガス化装置はインドやその他の地域で小規模から大規模の企業にまで熱利用のためにより多く使われるようになっている。とくにEUでは発電や熱電併給システムの天然ガスに代わって、バイオメタンガス(精製されたバイオガス)がガス供給パイプラインに投入されている。

2010年の世界の道路輸送用燃料の約2.7%を液体バイオマスが占めた。エタノール産業は石油価格高騰をきっかけに回復し、生産は17%増加した。なかには、過去に倒産した企業の復活もあった。米国とブラジルがエタノール生産の88%を占めており、数年間輸入国となっていた米国は、ブラジルを抜いて世界を率いるエタノール輸出国となった。EUは継続してバイオディーゼル生産の中心であるが、相対的に安価な輸入品によって競争が激化したために成長が滞った。先進的なバイオ燃料産業において、急速に成長する新興企業、主要航空企業、および大手石油企業の参入によりプレーヤーの多様化が進んでいる。

2010年の世界の電力供給量の16%を水力発電が占めた。新たに30GWが導入され、合計で1010GWになると推定される。水力発電の新規導入の動きは、それぞれ中国とブラジルを中心としたアジア、ラテンアメリカで最も活発であった。

要約部分だけだけれど、日本はさっぱり出てこない。目立つの中国、中国。続いてインドだろうか。ベスト5に出て来るのは太陽光発電のみ。本来、アジアはモンスーン気候だから、水力はもっと出てきていい筈だ。あるいは日本のように海岸線が長くもっとも有利な筈なのに海洋エネルギー部門にも登場しない。
それにしても、世界全体の最終エネルギー消費(2009)でみると、伝統的バイオマス(薪炭など)を除けば自然エネルギーのシェアはわずか6%だ。
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