国破れて自由貿易ありじゃない

TPP:米など9カ国の交渉難航 関税撤廃、議論進まず(毎日)

TPPは「例外なき関税撤廃」を掲げ、貿易自由化や各種規制の撤廃・共通化など21の交渉分野で高い水準の門戸開放を目指す。交渉は10年3月から始まり、3月まで11回の会合を重ねた。
 ただ、関税分野では2国間の協議にとどまり、全体のルールを議論するに至っていない。米国が砂糖や乳製品で関税の即時撤廃に抵抗しているのに対し、オーストラリアが反発するなど、個別の農産物や工業製品の扱いを巡り、対立する2国間の問題が決着していない模様だ。日本政府によると、「90〜95%の品目の関税を即時撤廃し、残りも7年以内に段階的に撤廃」と主張する国が多いが、「即時撤廃は減らすべきだ」との意見もあり、「具体的な内容についての9カ国の合意はまだない」という。

最近の先進国の動きは、末期的症状だ。法人税減税競争、次に関税撤廃競争。両方とも国家の大事な税収源なのだが、こんな調子ではますます税収減になり財政が持たなくなってくる。財政が持たなくなれば、国の信用が毀損し、国が発行する通貨も信用を失う。
ところが、自由貿易は、その国家の発行する通貨で成立している。通貨の信用がなくなれば、自由貿易そのものも成り立たなくなる。ボーダレスだのフラット化と言っても、その根本には国家の信用がある。
自由貿易=善、保護貿易=悪という単純過ぎる思考もあるようだが、実際には自由貿易と国家は再帰的に依存し合っている。結局広まらなかったエスペラント語のような通貨ができてもやはり結局広まらないだろう。
むしろ、自由貿易のために国家が切り売りされればされるほど自由貿易の危機が近付いていると見るべきだろう。というか、国も自由貿易も共倒れの危機が近付きつつある。
似たような例として、どこかの国の「成長戦略で税収を上げるしかない」メソッドがある。成長戦略のためにTPP参加となれば、近視眼的にはメリットを受けるかもしれないが、所詮は国家の切り売りで、今も夥しい「成長戦略」という名の補助金という国家の切り売りが性懲りもなく行われている。
Clickで救えるblogがある⇒にほんブログ村 経済ブログへ