オフサイトセンター移設論に反対した電気事業連合会

毎日記事で電気事業連合会原子力安全委員会がバトルしている。
電気事業連合会:原発事故対策強化反対の文書 昨年1月(毎日)

電力10社で組織する「電気事業連合会」が昨年1月、原発事故の防災対策強化の方針を打ち出した内閣府原子力安全委員会に反対する文書を送っていたことが26日、毎日新聞が情報公開請求した資料で分かった。理由として、原発は危険という印象がもたらす地域への影響や対策費増大を挙げているが、電力各社が防災を軽視していた実態を裏付けている。
国の原子力防災指針を策定する安全委は、国際原子力機関IAEA)が02年に重大事故に対応する防災対策の国際基準を定めたことを受け、06年3月に基準導入に着手。経済産業省原子力安全・保安院が「原子力への不安を増大する」として再三反発し、導入はいったん見送られた。しかし、各国で導入が進み、安全委は10年12月の「当面の施策の基本方針」で再び導入検討の考えを示した。
これに対し、電事連は11年1月13日と同2月3日、国際基準を導入した場合の自治体の反応について「独自に推定した」との文書を安全委に送付。
重大事故時に住民が直ちに避難する原発から半径約5キロ圏のPAZ(予防防護措置区域)の導入の影響について「地価下落や観光客減が出ないとは言い切れない」と強調。半径8〜10キロのEPZ(防災対策重点地域)を、同約30キロに拡大するUPZ(緊急防護措置区域)は「領域内に入る自治体が交付金補助金を要求する」と反対した。
その後、東京電力福島第1原発事故が発生。安全委は今月22日、国際基準を導入した新指針をまとめた。政府は12年度予算案で「緊急時安全対策交付金」を前年度比で3倍の89億7000万円計上した。安全委側は「事故前は、規制される側の事業者が政策決定に介入することがまかり通っていた」と話す。電事連は「基準導入への協力の一環だった」と釈明している。

これに対して電事連はホームページで反論書をアップ。
3月27 日付毎日新聞1面「原発防災 電事連も強化反対文書」について

3月27 日付毎日新聞1面に、『「電気事業連合会」が昨年1月、原発事故の防災対策強化の方針を打ち出した内閣府原子力安全委員会に反対する文書を送っていた』とありますが、電気事業連合会としては、国際的な基準を我が国に導入することは、国際条約の履行と緊急時対応の更なる改善という面で望ましいものであり、これに必要な協力をさせていただく考えであることを文書にて原子力安全委員会にご説明しており、「反対する文書を送った」という事実はありません。
電気事業連合会としては、平成23年1月13日と2月3日に防災指針改訂に伴い想定される影響等について原子力安全委員会に提出しておりますが、これは、平成22年10月に原子力安全委員会から電気事業連合会に対して、防災指針に国際的な緊急時対応基準を導入していきたいとの説明があり、その後の打ち合わせにおいて、原子力安全委員会から指針改訂に必要なデータ提供などの依頼があったことから、国際的な基準を我が国に導入していくべきという立場として、導入に伴い考えられる影響等をまとめて回答したものであります。

原子力安全委員会も応戦、
平成22年から23年にかけてPAZ等に関する防災指針見直しに向けた検討における電気事業連合会へのデータ提供依頼に関する経緯について(平成24年3月27日原子力安全委員会事務局)

同年2月3日、電気事業連合会から管理環境課に対して、1月13日の資料の追補資料として「PAZ、UPZ等導入に係る調査対象対自治体の一覧」、「国際基準(PAZ、UPZ、EAL、OIL)導入に伴う自治体影響の推定について」が提出された。主な内容の概要は、以下のとおりである。

•PAZの導入について、
原子力発電所が近いことの不安感を惹起するような動きが出れば、地域経済に与える影響(地価下落、観光客減等)が出ないとは言い切れない。
−これまでの長年のスキームが否定されかねず、住民の中から国の防災規制に不信感が生じる可能性がある。

詳細は、
国際基準(PAZ,UPZ,EAL,OIL)導入に伴う自治体影響の推定について平成23年2月3日(1月13日資料の追補)

1. PAZの導入
• EPZ(S......10km)設定時には問題とならなかったが、原子力発電所が近いことの不安感を惹起するような動きが出れば、地域経済に与える影響(地下(ママ)下落、観光客減等)が出ないとは言い切れない。
領域内のOFC(オフサイトセンター)等を移設するとした論議が発生した場合、これまでの長年のスキームが否定されかねず、住民の中から国の防災規制に不信感が生じる可能性がある。

その原文らしきものは、
防災指針の改訂内容に関する認識の共有化について(電気事業連合会平成23年1月月13日)

2. 予防的活動範囲(PAZ) について
(1) PAZについては、平成19年の防災指針改訂時に、新たに特定の範囲を設定する必要はないと整理されていますが、今回の改訂でPAZの範囲設定を必要とする理由をどのように説明されるのでしょうか。
(2) 一部の地域では、オフサイトセンター(0F C)が発電所から近いところにあり、PAZを導入すると、当該OFCの存在が問題視される可能性もあると考えますが、この点についてどのように説明されるのでしょうか。
(3) PAZの範囲について、どのような手法を用いて決定しようとされているのでしょうか。
レベル2,3PSAから得られた放出量・被ぱく線量等から解析的に検討する手法は、発電所の周辺住民の方々の無用な不安を惹起する懸念もあると考えられますが、この点についてどのようにお考えでしょうか。

これらの文書を読むと、オフサイトセンターの見直しの意見が出るのを怖れていたということだろう。実際、3.11のオフサイトセンターは全く役立たずだったことは周知の事実。ところで、この「長年のスキーム」とは具体的に何のことだろう。電気事業連合会におかれましては、再反論で解説を期待したい。バトルが過熱すればするほど“新事実”も出て来るだろう。
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