原発ゼロという現代のインパール作戦

【原発ゼロに】エネルギー政策、転換期に 泊3号機が定検入り 国内の全原発停止 草創期以来42年ぶり 「驚くべき転換」と米紙(47NEWS)

◎「驚くべき転換」 全原発停止で米紙
【ニューヨーク共同】米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は4日、日本の全原発停止について「ほんの1年余り前は世界で最も積極的な原発推進役の一つだった国にとって、驚くべき転換となった」と評する東京発の記事を掲載した。

米紙の記者の驚きの中身は多分、過去の日本の振る舞い方だろうか。あれほど鬼畜米英と言っていた国が終戦の日を境に一気に親米、絶対平和主義に表向き変わったこととダブらせているに違いないのではないかということ。その驚きには60年以上経ても日本人の行動パターンは何も変わっていないということ。
実際、大飯原発再稼働阻止に向けた情念というのは、多分外国人にはほとんど理解不能だろう。彼らは具体的な大飯原発に関心がある訳でもなんでもなく、単なるシンボルにすぎない。わずか1年余りで勝ち取った「原発ゼロ」という金字塔を二度と汚してはならないという使命に燃えているのだ。これは脱原発とは何の関係もない。
一番分かりやすいたとえは日本国憲法が発布されて以来、ただの一度も改正されていないことだろう。改憲論議が高まると、「憲法を守れ!」とシュプレヒコールが聞こえて来る。「改憲ゼロ」が今は「原発ゼロを守れ!」に入れ替わっただけだ。「もう戦争は懲り懲り」が「もう原発は懲り懲り」に入れ替わっただけだ。
その情念の結果、今起きているのは、「失敗の本質」でよく例に出されるインパール作戦のエネルギー版みたいなもの。

補給線を軽視した杜撰(ずさん)な作戦により、多くの犠牲を出して歴史的敗北を喫し、無謀な作戦の代名詞として現代でもしばしば引用される。

一体日本全体の電力源の30%、関西電力に至っては50%近い電力を担っていた原発をわずか1年余りでゼロにして補給線が持つと本気で考えているとしたら今は持て囃されていても将来狂人扱いされるよ、飯田哲也君。1年間節電で乗り越えた、だから何なんだ。2年、3年、4年うまく行くといいね。けれど、国民はクタクタになって必ず反動で揺り戻しが起きる。これは津波リスクよりはるかに確率が高い。多分1万倍くらい高い。
今の自然エネルギーの現状は竹槍部隊に近い。未だに1%未満。同じ脱原発でもドイツは着々と自然エネルギー比率高めているのに日本では京都議定書が採択されるCOP3京都会議が開かれた1997年に地熱発電は「新エネルギー」から除外されている。全くやることがチグハグ。
平和憲法戴いても日米安保条約があったから持ったが原発問題における安保条約って一体あるのか。アメリカから海底ケーブルでも引いて電力もアメリカから輸入でもするか。
これこそが米紙記者の「驚きの本質」だろう。「失敗の本質」が一時期あれだけ喧伝されても、応用が効かない。というか実は本当に「失敗の本質」を理解したのではなく、「失敗の本質」という空気が一時的に醸成されただけで空気が変われば泡の如く消え去ったのが真相かもしれない。どころか「失敗の本質」が逆作用して脱原発が暴走した可能性すらある。
つまり、3.11以前の原発推進派も、3.11以降の原発ゼロ派も実は同じ穴の狢なのだ。似た者同士が臭い田舎芝居を繰り返し、そして日本は沈没する。
Clickで救えるblogがある⇒にほんブログ村 経済ブログへにほんブログ村 環境ブログ 環境学へ