米国が尖閣で股裂きになる本当の理由


尖閣諸島の公称、米国務省報道官が「Senkaku」と認めて中国人記者の質問攻めに―中国メディア(Yahoo)

尖閣の帰属問題について質問したのは中国人記者だった。ヌーランド報道官は、「米国は不干渉」との立場を示しながらも、回答の際に「Senkakus(尖閣諸島)」と日本語の呼称を用いたことが記者を刺激した。「“Senkaku”とは米国での正式名称なのでしょうか?」と追うように質問が続き、これに対して同報道官は「手元の資料を再確認しないと。この問題は比較的複雑なので」と返した。

結局、報道官の資料には「Senkakus(=尖閣)」と記されていることがわかった。続けて、このほど日中間で緊張を高めている領有権問題については中立の立場であることを強調したが、同時に、尖閣諸島は1960年の日米安保条約第5章の適用範囲内であるとも発言した。1972年、尖閣諸島沖縄県の一部として日本に返還されて以来、同地域は日本が実効支配している点も明言。
記者は執拗に報道官の主張に矛盾があると何度も食い下がったが、報道官は上記の2点を強調するばかりで、会見は最終的に打ち切られた。

これ、質問者の新華社記者が「尖閣は日本の領土ですか?」と食い下がったが、ヌーランド報道官は明快に答えられず、ただ「日本の施政権下にある」と言うばかり。じゃあ、なぜこんな股裂き状態にならざるを得ないのか。
実は中国の尖閣諸島に対する公式見解は、「台湾省釣魚島」で、「中国本土釣魚島」ではない。
中国版@wiki钓鱼岛及其附属岛屿には、

声称拥有主权(主権を持つと公言)
日本 沖繩縣石垣市
中華民國 臺灣省宜蘭縣頭城鎮大溪里
中华人民共和国 台湾省

と記されている。
台湾も台湾領と主張するのが一般的なので、米国としては困ったことになる。
なぜなら、もし中国が尖閣に侵攻した場合、日米安保条約の適用範囲内であるとともに、台湾と結んでいる台湾関係法

事実上のアメリカ合衆国と台湾(中華民国)の軍事同盟である。

の適用範囲でも有り得るということになる。言わば尖閣侵攻は日本への侵攻であると同時に台湾への侵攻というややこしいことになる。故にアメリカは尖閣を日本の領土と明言できない。
アメリカとしては中国が大陸側の「浙江省の一部」とでも言ってくれた方がまだ嬉しいのかもしれない。中国としては「台湾省」と主張しておいた方が都合がよい。そもそも中国からすれば台湾も中国の一部だから整合性に齟齬もない。
台湾政府が完全に中国本土に平和的に併合されれば、台湾関係法も自動的に無効になるからしがらみがなくなって米国の立場も分かりやすくなる。その時点で尖閣が統一中国に占拠されていなければ、純粋に日米安保の対象になり、その時は「尖閣は日本の領土」と明言しなければならない筈だ。しかし、あくまで「筈」だ。その際、米中関係の力学でそう言い切れるかどうかは別問題だろうから。
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